2017年11月18日(土)

彼らは本当に不法移民なのか

2017/9/7 2:30
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 子供のころに米国に不法入国した若者を強制送還せず、引き続き滞在を認める制度が撤廃される。不法移民の排除を目指すトランプ政権が発表した。80万人もの若者が現在の生活を失うことになる。非人道的な決定であると同時に、米経済にも少なからぬ影響を及ぼすだろう。

 廃止されるのは、オバマ前政権が導入したDACAという制度である。親に連れられて不法入国した時点で16歳未満であれば、滞在し続けられるようにした。

 不法移民の大半はヒスパニックと呼ばれる中南米系である。その急増は白人中心だった米社会を揺るがし、職を失った貧困白人層の不満の高まりがトランプ大統領の誕生を後押しした。

 現政権が不法移民の排除に力を入れるのは理解できなくはない。強盗殺人、麻薬売買などに手を染める凶悪な犯罪者は厳しく取り締まるべきだ。

 他方、DACAが適用された若者の多くは、公立の学校に通えるようになったことで英語を学び、地域に同化しつつある。

 高校を卒業し、すでに働き始めている人も少なくない。好調な米経済を下支えする貴重な労働力である。300人を超える経済人が今回の決定に反対だ。

 トランプ政権はメキシコとの国境に壁を建設するための費用を盛り込んだ予算案が成立するメドが立たないため、支持層をつなぎ留めるため、何かしているという印象を与えたいようだ。

 だとしても、いわば最も良質な不法移民を目の敵にするのは見当外れも甚だしい。違法との認識なく入国した若者たちまで不法移民なのか。むしろ、この機会にDACA適用者を不法移民の枠組みから除外すべきだ。

 制度の廃止は来年3月であり、80万人の若者の強制送還もいっぺんにではなく、DACAで与えられた2年ごとの滞在許可が切れた順に実行される。残り時間はわずかだがある。トランプ政権と米議会は早急に手を打ってほしい。

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