2017年11月18日(土)

廃炉工程の作成は現実直視で

2017/9/6 2:30
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 東京電力福島第1原子力発電所の廃炉に向け、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が新しい「技術戦略プラン」を発表した。最難関の溶融燃料(デブリ)取り出しは状況に応じて柔軟に方法を見直すとした。現実的な提案だ。政府・東電は最大限尊重してほしい。

 戦略プランは政府・東電が9月中に改定する廃炉工程表(ロードマップ)の中核をなす。デブリの実態や取り出し技術は「不確実性が大きい」と認め、最新の情報や知見に基づき一歩一歩計画を進めるべきだとした。

 一方で、原賠機構の山名元・理事長は現行の工程表が2021年と定めるデブリ取り出し開始時期を、変える必要はないとの見解を示した。

 東電などが緊張感をもって廃炉を進めるには、目標時期が必要なのは確かだ。ただ、原子炉内の状況把握が難航している以上、開始時期にある程度の幅を持たせてもよいのではないか。

 放射線量が極めて高いデブリをその場にとどめるリスクと取り出し作業の危険性をはかりにかけ、その都度判断していくしかない。廃炉の進み方は地域の除染や住民の帰還とも絡むだけに「スケジュールありき」になりがちだが、現実を直視する姿勢が大切だ。

 今回の戦略プランは、複雑で難しい廃炉の取り組み全体を適切に管理する「プロジェクトマネジメント」の重要性も強調した。

 東電がもともと主力としてきた発電事業と、不確実性のなかで手探りで進める廃炉事業はまったく異質だ。マネジメントの手法も当然違う。これまでを振り返ると汚染水対策などで場当たり的な対応が目立ったし、地域住民への説明も十分だったとはいえない。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は、廃炉事業で「東電の主体性が見えない」と危機感を示したことがある。デブリ取り出しを前に、東電はあらためて現場からトップまで、廃炉を円滑に進めるためのマネジメントのあり方を考えるべきだろう。

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