2017年11月18日(土)

金融庁の組織改革が迫る銀行の自立

2017/9/6 2:30
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 金融庁が発足20年となる2018年に大規模な組織改革に踏み切る。現行の総務企画、監督、検査の3局のうち検査局を廃止し、監督局に統合するのが柱だ。発足以来の懸案だった不良債権問題が収束し、金融危機対応が一段落したのを踏まえ、金融行政の重点を「検査と処分」から「育成」へとシフトするのが狙いだ。

 これを契機に銀行や保険会社などの金融機関は経営の自立性や発想力を高め、日本経済の底上げに貢献する戦略を加速すべきだ。

 金融庁の前身である金融監督庁は1998年に大蔵省(現財務省)から「財金分離」する形で発足した。バブル崩壊後の護送船団方式の不良債権対策が行き詰まり、接待汚職など民間との癒着が糾弾されたのがきっかけだった。

 こうした反省から金融庁は、個々の金融機関に対して強硬姿勢で臨んできた。なかでも経営者から恐れられてきたのが、検査官による金融機関への立ち入り権限を持つ検査局だ。徹底した不良債権処理を迫り、その結果として経営陣の交代、破綻処理や合併・再編が続出した。

 足元では不良債権比率が過去最低水準の1%台に低下し、08年のリーマン危機に際しても邦銀への打撃は米欧勢に比べて限られた。こうした情勢の変化に対応する金融庁の組織改革は時宜にかなう。

 ただ健全性は向上したといっても邦銀メガバンクの国際競争力や企業価値は停滞したままだ。肝心の国内でも高齢化する経済の活性化のカギとなる「貯蓄から投資へ」という資金の流れを太くする役割を果たせず、一定の貸し倒れを覚悟した中小・ベンチャーや地方企業への資金供給も不十分だ。

 重箱のすみをつつくような金融検査が萎縮を招いた副作用もあるだろう。「これからは金融機関を処分ではなく育成する」(麻生太郎金融相)。民間側は金融庁の顔色をうかがっていた従来の姿勢を改め、自発的にビジネスモデルの再構築に取り組むべきだ。

 今後も金融システムの安定を維持する監督・検査の重要性は変わらない。リーマン危機後の世界的な金融緩和は巻き戻しの局面にさしかかった。地政学リスクの高まりも加わり金融市場は視界不良だ。ITと融合したフィンテックの急速な発展をめぐっても、仮想通貨をはじめとして波乱の芽になりつつある。金融庁は新たなリスクへの目配りも徹底してほしい。

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