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効率化なしに社会保障費は抑えられぬ

2017/9/5 2:30
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 101兆円規模に膨らんだ2018年度政府予算の概算要求のなかで額が突出しているのが厚生労働省だ。日本人の寿命の延びなどで要求を増やすのは当然と考えるのではなく、社会保障や働き方改革の予算をどう効率的に使うか、政府を挙げて知恵を絞るときだ。

 同省の一般会計の予算要求は31兆4298億円。今年度当初より7426億円増やした。要求総額の31%を占める。また労働保険、年金などの特別会計は合わせて69兆円あまりを計上した。

 戦後ベビーブーム期に生まれた団塊の世代の多くが70代に差しかかった。年金をはじめ医療、介護費がある程度増えるのはやむを得まいが、聖域視は望ましくない。

 査定する財務省は、社会保障費は放っておくと前年度より6300億円増えると見込んでいる。これを1300億円圧縮し、5000億円にとどめる方針だ。

 18年度は医療、介護に加え、障害者サービスの公定価格を同時に改定する節目の年だ。この機を逃さず、それぞれの制度が効率的に運用されるよう切り込むべきだ。

 産業界の賃金水準はこの十数年間、全般に伸び悩んできた。かたや医師などの人件費に充てる診療報酬本体は上昇基調にあり、一段の引き上げの必要性は小さいだろう。介護と障害者サービスも冗費をなくす不断の努力が必要だ。

 ただし予算編成を通じた抑制には限界もある。制度を根本から見直し、長寿化が進むなかでも社会保障費が増えにくい仕組みの確立を安倍政権に求めたい。

 医療分野は公の健康保険の範囲をどうするかが課題だ。大切なのは、無駄を省くとともに、必要としている患者に十分な医療を届ける患者本位の実現である。

 有効性・安全性を確認した先進医療について、当座は保険外であっても、ほかの保険診療と同時に提供する混合診療をもっと広げてほしい。薬局の市販薬と成分や効果・効能が変わらない処方薬は、原則として保険外にすべきだ。

 年金は収入・資産が多い受給者を中心に給付水準を実質的に抑えることが不可欠だ。65歳への引き上げ途上にある支給開始年齢をさらに上げる改革も待ったなしだ。

 政権は診療報酬などの改定率について年末まで結論を出さないという。官庁間の折衝が大詰めを迎えるどたばた劇に乗じて決めるのではなく、透明性を確保しつつ今から議論を始めるのが筋である。

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