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クロマグロ管理に「甘え」は許されない

2017/9/3 2:33
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 日本近海を含む中西部太平洋でマグロ類の資源管理を担う国際委員会(WCPFC)は、太平洋クロマグロの資源回復に向けた方策を韓国で話し合った。資源の回復具合によって漁獲枠を増減する新たな管理手法や、2034年までに親魚をおよそ13万トンまで回復させる長期目標で合意した。

 資源の回復ペースをみて漁獲枠を増減させる手法は日本政府が提案した。背景には未成魚の漁獲量を02~04年平均の半分以下に抑える国際規制は漁業経営への影響が大きく、多くの漁業者が資源回復が進めば早期に漁獲枠を増やせるような仕組みに変えてほしいと求めていることがある。

 しかし、日本政府の提案には資源保護を重視する米国などから注文が付き、漁獲枠拡大が認められる条件は厳しいものになった。

 WCPFCは親魚の資源量を24年までに歴史的な平均である4万1千トンへと回復させる暫定目標を設定している。日本提案はこの目標の達成確率が65%を上回れば漁獲枠を増やせるものだったが、合意では75%超となった。

 加えて、高い長期目標の設定が政府や漁業関係者に今後の重い課題としてのしかかることになる。

 しかしクロマグロを巡る状況は深刻だ。太平洋にすむクロマグロはピークだった1961年の1割程度まで激減し、国際自然保護連合は絶滅危惧種に指定した。主因は自然の再生能力を超す乱獲だ。しかも漁獲量の9割強は0~1歳の子供のクロマグロが占める。

 太平洋クロマグロの6割は日本の漁業者がとる。地中海やメキシコ湾岸で畜養されたクロマグロなど世界の漁獲の8割近くは日本人が食べている。政府や漁業関係者は現実を直視し乱獲防止策で各国の先頭に立たなければならない。

 漁業者が当面の経営に腐心するのは理解できる。だが、乱獲は水産業そのものを衰退させる。将来の担い手のことを考え、漁獲管理に取り組んでもらいたい。

 最盛期に700万トンあった沖合漁業の生産量は、200万トン近くに減少した。マイワシの資源量が大幅に減少したためだ。天然資源に対する最大の脅威が過剰な漁獲であることは言うまでもない。

 日本ではクロマグロ漁獲のルール違反が相次ぎ、各国で決めた漁獲上限も守られていない。これを米国などは問題視している。「多少のとり過ぎは仕方ない」という甘い考えはもはや通用しない。

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