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原子力規制委は新体制で透明性高めよ

2017/9/2 2:30
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 原子力規制委員会の田中俊一委員長が5年の任期を終え、更田豊志委員長代理にバトンを渡す。田中氏は規制基準づくりや審査で指導力を発揮した一方、透明性の確保などで宿題も残した。新体制のもとで課題を克服し、原子力への信頼回復をめざしてほしい。

 東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、田中氏は初代委員長として規制行政の立て直しを託された。「(事故で教訓になった)独立性や中立性を高めるという点では役割を果たせた」と自身で振り返るように、原発の審査の体制を築き直し、12基を合格させた点は、前進といえる。

 原発推進派からは「審査が遅すぎる」と批判される一方、反対派からは「不合格にした原発がない」との声があがる。だが田中氏は安全確保へ厳しい注文をつけ続け、電力会社は自発的に6基の廃炉を決めた。政府が高速増殖炉もんじゅの廃炉を決めたのも、規制委の勧告がきっかけだった。

 新委員長の更田氏はこれまで田中氏の補佐役を務め、路線を引き継ぐとみられる。最初に向き合わねばならない課題は、審査が長引いている原発への対応だ。

 北陸電力志賀原発や日本原子力発電敦賀原発では敷地内を断層が通っている。規制委の有識者会合は「活断層の疑いが否定できない」と事実上の廃炉を求めたが、田中氏は「本審査で改めて検討する」と、判断を先送りした。

 地震学、地形学、工学など専門家間で意見が割れたとき、誰の判断を優先し、どう合意をつくるのか。更田新委員長が明確にし、透明性の高い判断を下すべきだ。

 情報の公開や地元への説明も改善の余地がある。規制委の資料や会議は原則公開され、外部の専門家らがチェックできるようになった。だが「情報が膨大で知りたいことが分からず、整理して開示すべきだ」と注文が出ている。原発の地元に審査の経過を丁寧に説明する責務も果たすべきだ。

 再稼働する原発が増え、運転中の検査がこれから重要な仕事になる。規制委は検査員を増やし、抜き打ち検査を導入する方針だが、狙いをきちんと説明し、実効性を高めることも新体制の課題だ。

 田中氏は「福島原発事故を決して忘れずに、安全性を高める原点にする」と訴え、電力会社にも意識の共有を求めてきた。更田体制になっても、この姿勢は貫き通してほしい。

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