2017年11月23日(木)

GoogleとFacebookがネット広告占有 世界各国で反発
藤村 厚夫(スマートニュース執行役員)

コラム(ビジネス)
2017/9/7 6:30
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 インターネットでいやが上にも目につく広告。この広告市場の7割を2社が占有しているかもしれないということをご存じだろうか。2社とは、検索やスマートフォンで存在感の強いグーグルと、交流サイト(SNS)の最大手であるフェイスブックだ。業界団体などによる米国のネット広告市場の調査(2016年)が占有を指摘する。

過激な記事や動画に、広告が自動配信される問題が議会でも議論に(英国の国会議事堂周辺)=ロイター

過激な記事や動画に、広告が自動配信される問題が議会でも議論に(英国の国会議事堂周辺)=ロイター

 米国内では、ネット広告市場は現在も2ケタ成長を続けており、今年はテレビ広告を上回るとの見方さえある。その規模は莫大だ。もともと2社は、それぞれ自社の検索サービスやSNSのなかで広告事業を運営してきたが、膨大な利用者データの分析をテコに広告効果の高いシステムを構築し、それを自社以外のメディアやサービス事業者へと広げてきた。いわゆる広告ネットワークの形成である。

 市場占有がここまで高まった背景には、テクノロジーも関係している。広告ネットワーク上の膨大なメディアのひとつひとつに自動的に配信できるシステムが整った。

 この無人運用システムが、ネット広告の負の面も拡大した。4月の本欄でも触れたが、こうしたシステムのもと、人種差別やイスラム国の扇動といった過激な記事や動画にも広告が自動配信されるという事態が起こっている。その結果、過激派の収入源になっているとイギリス議会が問題にするなど、世界の反発は強まっている。

 自動配信の広告収入を大きくするために、昨年の「ウエルク」問題のように、低品質の記事が大量生産されるモラル上の課題も生んだ。これまで広告は自動配信に任せきりで、どんな記事や動画に自社の広告が表示されているのかを気にかけてこなかった大手広告主も問題を認識し、一時は、グーグルや傘下のユーチューブなどとの広告取引を見合わせるといった騒動にまで拡大した。

 ネット広告における2社の市場独占に危機感を募らせるのは、広告主だけではない。広告収入への依存度合いが強い新聞などのニュースメディアも、穏やかでなくなってきた。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身。

ふじむら・あつお 法政大経卒。アスキー系雑誌の編集長、外資系IT(情報技術)企業のマーケティング責任者を経て2000年にネットベンチャーを創業、その後の合併でアイティメディア会長。13年から現職。東京都出身。

 今年7月には、米国の新聞社など2000社超が参画する団体NMAが、2社への団体交渉権を議会に求める動きに出た。カルテルを結んでまで条件交渉を求めるのは、各社は広告ネットワークから収益分配を受け取っており、条件交渉で分配を高める以外に、社内で減り続ける広告収入を伸ばす有効策が見当たらないからだ。

 むろん、2社を一方的に悪者扱いすることはできない。両社は、膨大な広告収入を獲得し、それを分配するという役割を果たしているともいえるからだ。またメディアに対しては「新聞業界は、ネットがいずれ巨大な力を持つと20年前から知りながら、短期的な業績にだけ関心を持ちネットに投資してこなかった」(「バズフィード」創業者ジョナ・ペレッティ氏)といった批判もある。

 いずれにしても、独占がモラルからの逸脱を生みやすいことは常識だ。広告市場の新たな秩序をつくっていくことに、業界をあげて取り組むべき課題があるのは間違いないだろう。

[日経MJ2017年9月4日付]

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