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米法人税「20%台前半」軸 トランプ氏「15%に下げ理想」
代替財源なく幅縮小

2017/9/1付
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【ワシントン=河浪武史】米与党・共和党の議会指導部は、税制改革の焦点となる連邦法人税率を現在の35%から20%台前半まで引き下げる案を軸に調整に入る。トランプ大統領は30日の演説で「理想は15%」としたが、代替財源の確保が難しく、引き下げ幅は抑えられる。ただ、米国の税率下げが実現すれば約30年ぶりで、主要国の減税競争に拍車がかかりそうだ。

トランプ氏は30日、中西部ミズーリ州での演説で「米国の法人税率は高止まりしており、税率下げ以外の選択肢はない」と主張した。トランプ氏は連邦法人税率を35%から15%に下げると公約しており、同日の演説でも15%案が「理想だ」と訴えた。

共和党の議会指導部も30日「今秋の最優先事項は税制改革だ」(ライアン下院議長)などと相次いでコメントを出して、審議加速に意欲をみせた。米国では税制や予算の立案・決定権はすべて議会にあり、大統領案はたたき台にすぎない。議会指導部は同日、肝心の税率には触れず、トランプ氏の15%案に距離を置いたまま。財政悪化を防ぐ代替財源がなく、15%への引き下げは困難なためだ。

米議会の誤算は輸入課税を強化する「法人税の国境調整」の頓挫だ。下院指導部が提唱していたこの案は、10年で1兆ドル強の増収効果が期待されたが、国内外の反発を招いて7月末に断念した。米国では法人税率を1%下げれば10年で約1千億ドルの税収が減る。「国境調整」を断念したことで税率10%分の引き下げ余地を失ったことになる。

共和党内には「税率を25%以下に下げるのは奇跡的だ」(上院のハッチ財政委員長)との声も浮かぶ。一方、ホワイトハウスは「少なくとも先進国平均の24%を目指すべきだ」と主張。議会指導部は税率を35%から20%台前半に下げる案を軸に調整に入る。

トランプ政権は「税率引き下げによる経済成長で、結果的に税収も増える」と主張するが、議会は企業への特別な税軽減措置の縮小などで安定した財源を確保する考えだ。グローバル企業が海外に留保する資金への課税強化も検討課題となる。最終的な税率引き下げ幅は9月中にも公表する。

米国の大型法人減税はレーガン政権だった1986年以来、約30年ぶりだ。先進国の平均法人税率は「その間に45%から24%弱まで下がった」(トランプ氏)。米国が減税を決めれば、日本など各国の税制改革議論にも影響する。米企業の国内投資が増え、生産性の引き上げなど中長期的にみた米経済の押し上げ効果も大きい。

ただ、税制改革の早期成立は曲折が予想される。米議会は9月5日に再開するが、目先は連邦政府債務の上限引き上げが最優先課題。10月初旬までに上限を上げなければ政府は資金枯渇で米国債のデフォルト(債務不履行)を招きかねない。2018会計年度(17年10月~18年9月)の予算審議とあわせ、9月中は喫緊の財政問題を解決する必要がある。

トランプ政権は9月中に議会委員会に税制改革案を提示し、10月に下院、11月に上院を通過するシナリオを描く。ただ、審議日程に余裕はなく、越年の可能性も残る。18年秋の中間選挙が近づけば、議員の利害が対立する税制改革は機運がますます後退する。「トランプ税制」は瀬戸際にある。

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