2017年11月18日(土)

水膨れ予算に諮問会議は歯止めかけよ

2017/9/1 2:30
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 2018年度予算編成にむけた各省庁の概算要求が出そろった。要求総額は101兆円前後に膨らみ、4年連続で100兆円を超えたもようだ。

 日本の財政状態は先進国で最悪である。歳出拡大を求める各省庁や与党の圧力は強いものの、財務省は費用対効果に乏しい要求をはねつけ、厳しく査定しなければならない。

 18年度の概算要求は、安倍晋三政権の看板政策である「人づくり革命」や働き方改革を意識した内容がめだつ。文部科学省は「人づくりを強力に推進」と称して、前年度比9.9%増の5兆8000億円あまりを要求した。

 経済産業省は「社会人の学び直し」の旗を振り、厚生労働省は「若者や就職氷河期世代の活躍」などの予算を要求した。国土交通省や農林水産省も業界の人材確保や担い手育成の支援を打ち出した。

 一見もっともらしくみえる予算も、執行してみると効果がほとんどなかった。そんな歳出の例はこれまで枚挙にいとまがない。人材投資に名を借りたバラマキとならないように、個々の要求を厳格に精査する必要がある。

 気をつけねばならないのは、金額が表に出ていない「隠れ要求」だ。文科省による「幼児教育無償化の段階的推進」が一例で、対象範囲や内容はこれから検討する。

 18年度予算編成の焦点となる医療や介護の公定価格である診療報酬・介護報酬について、厚労省は「予算編成過程で検討する」という。待機児童の解消策も不明だ。財源の裏付けがないまま、一方的に歳出を膨らませてはならない。

 10%への消費増税は2回延期され、20年度に国と地方をあわせた基礎的財政収支を黒字にする政府目標の達成が危ぶまれている。財政規律を緩めると目標達成の時期はさらに遠のき、財政の持続可能性に黄信号がともりかねない。

 すでに与党からは17年度補正予算案の編成を求める声が出ている。4~6月期の実質経済成長率は年率4%となった。景気が底堅いのに「景気対策」と銘打ち、不要不急の予算を年度途中で追加するのは慎むべきだ。

 日本では当初予算で歳出を絞り込んでも、その後で編成する補正予算で歳出が水膨れすることが常態となっている。こうした失敗を繰り返さないように、政府の経済財政諮問会議は緩みがちな財政運営に歯止めをかけるべきだ。

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