2017年11月24日(金)

絵本「えんとつ町のプペル」 成功生んだクラウド調達
アジャイルメディア・ネットワーク取締役 徳力基彦

コラム(ビジネス)
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2017/9/3 6:30
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 お笑い芸人のキングコング・西野亮廣さんがつくった絵本「えんとつ町のプペル」の勢いが止まらない。出版不況がさけばれるなか、プペルの発行部数は発売から1年を待たずに30万部を突破した。

長野県のイベントで、キングコング西野さんが絵本について語った

長野県のイベントで、キングコング西野さんが絵本について語った

 先日長野で開催された信州ブランドウェーブというイベントで、西野さんが登壇しプペルの作り方と届け方について講演した。非常に印象に残る点が多かった。

 絵本プペルは、業界の常識を良い意味で裏切り続けている作品として知られる。まず、通常の絵本は絵本作家が一人で描くことが多いが、プペルは映画や漫画と同じく、複数のクリエーターがかかわる分業制だ。その原資としてクラウドファンディングを利用し、3000人から1000万円の資金を調達した。

 さらに、発売前にプペルの個展を入場無料で開催するためのクラウドファンディングを実施して6000人が参加。4600万円を超える資金が集まっている。

 ほかにも絵本のネット上での無料公開などの取り組みが賛否も含めて大きな話題を呼んだ。背景に一貫してあるのは、西野さんのただの「作品」ではもう誰も買わないという問題意識だ。その試行錯誤のなかで西野さんが導いたのが、人は「作品」は買わないが「お土産」は買うという結論だった。

 2回のクラウドファンディングに累計で1万人近い人が参加したということは、西野さんの言葉を借りると1万人が絵本づくりにかかわる「体験」をしてくれたということだ。クラウドファンディング参加者にとって、絵本ができる前の段階からその作品にお金を払うという行為は、絵本の制作に自らも少し関わるという「体験」なのだ。

 そして一緒に作った「体験」の「お土産」として、作品を提供するというわけだ。旅行のお土産のような感覚だ。

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