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予知に頼らぬ地震防災を前へ

2017/8/31 2:30
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 東海沖から九州沖を震源とし、最大でマグニチュード(M)9級と想定される南海トラフ巨大地震について、中央防災会議の有識者会議が防災対応の見直しを求める報告案をまとめた。

 いまの大規模地震対策特別措置法(大震法)では東海沖の地震は「予知が可能」とし、警戒宣言を出して被害を減らすとしている。だが有識者会議は「確度の高い予測は困難」と認め、予知に頼らぬ防災への転換を求めた。

 大震法を見直すのは当然だ。1995年の阪神大震災後、予知が難しいことは学界の共通認識になった。南海トラフ地震は西日本の太平洋沖の広い海域が震源になるとみられ、東海地震だけが対象の大震法がいまのままでは、防災対策で矛盾が生じかねない。

 これを機に、地震が突然起きても被害を最小限に抑える対策をもっと強めるべきだ。耐震基準を満たさない建物はできるだけ早くゼロにする。活断層の真上に公共の建物をつくらない。被災地に救援部隊や物資を送る計画を事前に立てておく、といった対策だ。

 しかし、有識者会議の案はなおも中途半端な点が多い。ひとつが大地震の前兆とみられる「異常な現象」が観測された場合、住民に避難指示を出すとした点だ。

 同会議は異常現象として2つの例をあげた。まず南海トラフの東側でM8級地震が起き、トラフ西側でも大地震の続発が予想される場合。もうひとつは本震よりひと回り小さいM7級が、巨大地震の前震として起きる場合だ。

 ただ、過去には異常が起きても大地震に至らなかった例も多く、予測が当たる確率は2~10%という。これでは避難指示を出しても空振りになる可能性が高く、社会の理解が未熟なまま発信すると、混乱を招く恐れも大きい。

 不確かな情報をもとに避難指示を出すのが妥当か、研究者や市民も交えて慎重な議論が要る。むしろ、地震に不意打ちされても被害を減らす対策を考えるのが、有識者会議の役目であるはずだ。

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