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日本企業は英EU離脱への備え怠るな

2017/8/31 2:30
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 英国の欧州連合(EU)からの離脱をめぐる交渉が難航している。EUと英国の双方の主張の隔たりは大きく、離脱後の自由貿易協定(FTA)などの通商協議に入るメドがたたない状況だ。

 英国が無秩序なかたちでEUを離脱するという最悪のシナリオも排除できない。英国を拠点に欧州ビジネスを展開する日本企業は、あらゆる事態に対応できる準備を怠ってはならない。

 英国は原則として2019年3月にEUから離脱する。離脱からEU・英国のFTAが発効するまでの「移行期間」について何らかの取り決めをしないと、EUと英国の間に関税が復活したり人の往来が制限されたりして、双方の経済が大混乱するおそれがある。

 EUは人、モノ、サービス、お金が域内を自由に移動できる「単一市場」と、関税なしで貿易ができる「関税同盟」をもつ。移行期間中は実質的な関税同盟を維持しつつ単一市場からは撤退する方針を、メイ英政権は示している。

 英国には約1000社の日系企業が進出している。英国に欧州本社を置いている日本企業も多い。英国がEUの単一市場の一部でなくなれば、多くの企業が事業の見直しを迫られかねない。

 経団連は、EUと英国がひとまず単一市場と関税同盟を維持する移行措置に合意するよう求めた。離脱の負の影響を最小にするための要求で、理解できる。

 メイ英首相は9月1日までの日程で来日中だ。EUからの離脱を円滑に進め世界経済に悪影響を与えないよう、安倍晋三首相や日本の経済界は強く迫るべきだ。

 同時に、日本企業はEUと英国がFTAや移行措置で合意できない事態にも備えねばならない。

 たとえば、大陸欧州から部品を輸入し、英国で組み立てて最終製品を大陸に輸出している場合、大陸と英国の間で関税が復活することも視野に供給網を再構築することが求められる。

 英国内の拠点で働くEU市民の雇用を維持できるかどうかも要注意だ。日本の金融機関は事業の一部を大陸に移す計画だ。英国とEUの交渉をみながら柔軟に対応する構えも必要である。

 EU離脱後の英国と日本はいずれFTAを結ぶ必要があるだろう。とはいえ、日本政府が英政府に最優先で求めるべき点は、EUとの交渉を早く前進させて先行き不透明感を拭うことだ。

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