2018年9月24日(月)

ベンチャー育成を進めるには

2017/8/25 2:30
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 KDDIが設立から3年に満たないベンチャー企業を、約200億円で買収する。国内のベンチャーを対象としたM&A(合併・買収)では有数の規模になる。

 外部投資家から成長資金の提供を受けるベンチャーは、投資を回収する機会をつくる必要がある。日本では従来、新規株式公開(IPO)が投資回収の中心だった。今回のような動きが広がれば、ベンチャーへの資金の流れがより太くなるだろう。

 KDDIが傘下に入れるソラコム(東京・世田谷)はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」向けの通信サービスを提供し、約7千社を顧客に持つ。KDDIと組み、新たな技術の導入や海外展開を急ぐという。

 起業が盛んな米国では2016年、投資回収の局面に入ったベンチャーのうち約9割が他の企業による買収を選んだ。欧州でもベンチャーを対象としたM&Aが増えている。

 買収を通じた投資回収はIPOに比べて株式市場の環境に左右されにくい。ベンチャーは従来より安定した環境のもとで事業拡大に専念でき、短期的な業績を重視する株主の意向を気にせず大胆な手が打てる利点もある。

 買収する側の大企業には自社で開発が難しかった技術や、新たな顧客を取り込める効果が大きい。米国では自動車や金融、流通といった幅広い業種で大企業が買い手になる事例が増えており、日本の企業経営者もこうしたM&Aを真剣に検討すべきだ。

 ただ懸念もある。ひとつは迅速な事業展開や自由な社風を重視するベンチャーは、リスク管理などのために慎重になりがちな大企業と摩擦を生みやすいという点だ。買収後に人材の流出を食い止めることも重要だ。

 KDDIによるソラコム買収は国内でベンチャーを対象としたM&Aが広がるかを占う先例となる。こうした動きが増えれば、日本の成長戦略の柱のひとつであるベンチャーの育成も進むはずだ。

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