2018年9月24日(月)

農家保護策のツケを払うのは消費者だ

2017/8/25 2:30
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 今年産のコメが値上がりしそうだ。主因は補助金で家畜飼料米の増産を奨励し、食べるコメの需給を人為的に引き締めようとする政策にある。自由な競争を阻害し、横並びでコメ農家を保護する政策のツケは外食企業や消費者が払うことになる。見直すべきだ。

 今月に入り、早場米と呼ばれる宮崎、鹿児島産などの新米が店頭に並び始めた。店頭価格は1年前の新米価格に比べ1割前後も高い。今後出回る関東、北陸産米なども軒並み前年より値上がりする可能性が高い。

 政府は主食用米の生産を減らし、飼料米の生産を増やす農家に対し10アールあたり最大10万円強を助成する。都道府県ごとに主食用米の生産抑制目標も設定している。

 この政策は食用米の価格を押し上げ、農家の収入を増やすことが狙いだ。政府は来年6月末の民間在庫を、東日本大震災の影響で在庫が急減した2012年並みに削減できるとみている。

 飼料米を増産し、農家の収入を増やす生産者偏重の政策には、外食企業や消費者がどのような影響を受けるかという視点はない。人為的に在庫を減らしたところに日照不足などの影響が追い打ちをかけ、価格が高騰する懸念もある。

 財務省は競争力の向上につながる助成金の運用に変えるよう求めているが、農林水産省は飼料米の増産政策を強化している。

 少子高齢化によって、食用米の国内需要は年間750万トン台と10年前に比べ100万トン近く減った。コメの値段が上がれば需要はさらに縮小し、政府が力を入れる輸出拡大にも障害となる。

 横並びの保護を脱し、市場での競争を通じて付加価値を上げたり、生産コストを引き下げたりする政策に早急に転換すべきだ。

 国内では政府が1日からセーフガード(緊急輸入制限)を発動し関税が大幅に上がった米国産冷凍牛肉も卸価格が上昇している。

 セーフガードは国際的な貿易ルールで認められた緊急措置ではある。ただ、牛丼チェーンなどが使う米国産冷凍牛肉の輸入が増えることで、高品質の牛肉生産が主力の国内畜産農家がどれだけ損害を受けるか、疑問はある。

 発動が単に国内農家に対する「保護のアピール」でしかないとすれば、負担の増す企業や消費者は被害者だ。政府は農家が被る損害や関税引き上げの影響を検証し、問題点を修正してもらいたい。

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