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新環境ISO、移行期限まで1年 「環境で儲ける」実践
日経エコロジー編集部 馬場未希

2017/8/24付
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 環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」を勤務先で採用しているという読者は多いだろう。日本適合性認定協会によれば日本の約1万8700件の組織が同規格を活用している。

新規格は企業の本来の業務を通じて、環境保護や環境配慮に貢献することを求めている(そごう横浜店の紳士服売り場)
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新規格は企業の本来の業務を通じて、環境保護や環境配慮に貢献することを求めている(そごう横浜店の紳士服売り場)

 この環境ISOの発行は1996年。2004年に最初の規格改定を経て、15年に内容を大きく刷新した。新規格は企業の本来の業務を通じて、環境保護や環境配慮に貢献することを求めている。業務を進めるプロセスに、環境保護に役立つ取り組みを組み込むなどの工夫が必要になる。

 同規格を採用している企業などは、15年版規格にのっとった運用体制に18年9月までに移行する必要がある。ところが、移行を終えた企業は十数%に留まるとの見方もある。規格が大きく変更されただけに、運用体制の移行に手間取る企業も多いようだ。

 一方で、移行をスムーズに終えた企業は「本業と環境の一体化」に力を入れている。実践しているのが、そごう・西武だ。16年2月には15年版ISO14001への移行を完了した。

 「マイナス5センチメートルへの挑戦」。そごう・西武がこの夏、紳士服売り場で展開している「クールビズ」スタイルのキャッチコピーだ。

 細身のズボンを、ビジネスシーンで一般的な丈より5センチメートル短い「くるぶし丈」に裾上げすることを提案した。従来の丈よりも涼しく過ごせる点をアピールし、紳士向けズボン全体の売り上げが昨年比で約1割増、くるぶし丈に合う細めのズボンは同約15%増で推移している。

 「クールビズがひと通り定着したあと、購買と温暖化対策への意欲を再び高めるスタイルを提案しようと、紳士服の担当者や販売促進、店舗の装飾、広報宣伝などが知恵を絞った」と、同社で環境対策を担当するCSR・CSV推進室の鈴木英伸シニアオフィサーは話す。

 売り場では高く跳び上がった格好のマネキンにズボンを着させ、くるぶしが客の視界に自然と入るように、売り場担当者らが知恵を絞った。

 食品売り場では昨夏から、乱獲や違法漁獲を防ぎ、漁法や漁獲量を管理したアラスカ産の持続可能な天然水産物を来店客にアピールするイベントを始めた。調達部門や生鮮食品部門などが協力している。

 人気の料理研究家を招いた調理の実演や、親子料理体験などで来店客の関心を引き、持続可能な漁法も紹介する。イベント時の店舗の平均で、アラスカ産水産物の売り上げが従来の約1割増えた。イベント後も固定客が継続して買い求めるという。

 衣料や食品の売り上げを増やし、客とともに環境に貢献する提案や情報を発信するために担当者が知恵を絞る。「本業と環境の一体化」を実現している例と言えるだろう。

 他にも、社会貢献活動と会社の利益拡大につながるアイデアを従業員から募ったところ、1カ月で約480件もの応募があったという。全社の従業員が、環境や社会への貢献に知恵を絞る背景には、環境ISOの運用の一環で毎週行う「環境朝礼」がありそうだ。

 週に1度、環境や社会貢献をテーマに、従業員数名ずつで自主的な朝礼をしてもらう。5分程度の朝礼が意識作りに役立っている。

 そごう・西武は今年1月に発表された日本経済新聞社の「第19回環境経営度調査」の小売り・外食部門で首位に選出された。環境対策を本業で進める同社の底力を、15年版ISOが支えている。

[日経産業新聞2017年8月24日付]


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