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春秋

夏の高校野球はきょうが準決勝。2週間余りに及ぶ熱戦が佳境を迎える。一足先に、決戦の舞台をのぞいた。歌人石川啄木の古里、盛岡市でおととい全国21校の高校生が短歌の腕前を競う「短歌甲子園」の決勝戦があった。涙あり笑顔あり。清新な感動を残してくれた。

▼〈長雨に 濡(ぬ)れた葵(あおい)の花のような ふるえる君の声に触れたい〉。個人の部で最優秀賞に輝いた福岡女学院高校の1年生の作品だ。短歌で「君」といえば親しい異性を指すことが多い。が、いつもは太陽に向かって咲く花のように明るく勝ち気な親友が、電話で涙ぐんだ様に驚き励まそうとした心情を詠んだものだという。

▼相聞歌ではなく友情の歌だ。他にも「君」を広く友達ととらえる作品があった。表現の地平は変わりつつある。対話アプリのLINEやツイッターで歌を詠む若者もいるという。平安の貴人が相手から返歌がなく、やきもきする様子は、「既読スルー」を思わせる。流行と不易。10代の歌は、そのことに気付かせてくれる。

▼諸説はあるが、今年は万葉集を編さんしたとされる大伴家持の生誕から数えで1300年にあたるという。特別審査員の歌人、小島ゆかりさんは、「皆さんの歌が、もしかして1000年後の誰かの孤独や喜びと共鳴するかもしれない」と創作を続けるよう励ました。若さに宿る言葉の輝きに力をもらった夏の1日だった。

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