2018年7月19日(木)

米トランプ政権は混乱の収束に努めよ

2017/8/22 2:30
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 米トランプ政権が一段と混迷を深めている。大統領が白人至上主義を容認すると受け取られかねない発言をし、国民世論に大きな亀裂が入った。混乱の火種と目されてきたバノン首席戦略官を更迭したのを奇貨として、国論の収束に努めてもらいたい。

 米国は世界中からやってきた移民がつくった人工国家である。多民族国家はしばしば短命に終わりがちだが、米国は自由主義や民主主義といった理想を掲げ、世界をリードする役割を担ってきた。

 国家統合のタガとなってきたのが、多様性の尊重だ。さまざまな民族、さまざまな文化がごちゃ混ぜとなり、多少の摩擦はあっても、むしろ経済の活性化や新しい文化の創造に寄与してきた。

 だが、トランプ大統領はバージニア州で起きた暴動に際して「双方に責任がある」と語り、白人至上主義の秘密組織クー・クラックス・クラン(KKK)の肩を持つかのような態度をとった。いかなる人種差別も許容されるべきではなく、米国の国内問題として看過するわけにはいかない。

 バノン氏はいなくなったが、トランプ氏本人が姿勢を改めたかどうかは判然としない。トカゲのしっぽ切りで終われば、政権への批判は収まるまい。

 トランプ政権は各界から人材を集め、大統領の政治経験のなさを補おうとした。だが、プリーバス首席補佐官を解任し、共和党主流派と溝が深まった。多くの経営者が背を向けたため、経済諮問機関は解散せざるを得なくなった。

 軍部の代表であるマクマスター国家安全保障担当補佐官との折り合いも悪いらしい。もはやトランプ氏が頼れるのは長女夫妻だけのようだ。これではまともな政権運営はできない。非常識な言動を改め、共和党主流派などと関係を修復すべきだ。

 いまのままでは議会で法案を通せず、看板政策に掲げてきた大規模なインフラ投資や大幅な法人減税は実現しない。トランプ氏も何もできないまま、残り任期を数える日々は耐え難いだろう。

 有名なスポーツ選手がホワイトハウス招待を拒否し、芸術家の表彰イベントは受賞者がボイコットをほのめかしたため、トランプ氏の方が出席辞退に追い込まれた。

 米大統領は行政の長であるだけでなく、国家元首でもある。全ての米国民の代表としての振る舞いを求めたい。

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