2017年12月14日(木)

貸しベビーカーにIoT ANA、混雑時の不足防ぐ

コラム(ビジネス)
2017/8/19 6:32
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 ANAホールディングス(HD)はあらゆるものがネットにつながる「IoT」で空港の利便性を高めようとしている。ターミナル内のベビーカーや車椅子に発信機を取り付けてありかを把握し、混雑時の不足を防ぐ。2020年の東京五輪・パラリンピックの開催に向けて、より多くの人が障壁無く空の旅を利用できる環境を整える。

スタッフが持つスマホのアプリに、ベビーカーなどの現在位置が表示される

スタッフが持つスマホのアプリに、ベビーカーなどの現在位置が表示される

 休日朝の羽田空港。旅行客や帰省客で出発ロビーが混み合う。カウンターでは大きな荷物とともにベビーカーを預ける家族連れが目立つ。

 ベビーカーや車椅子は旅客機の貨物スペースに預け、搭乗までの間や降機直後は空港や航空会社が用意した「代車」を利用するのが一般的だ。ロビーには数十台が用意されているが、ラッシュ時にはみるみる減っていく。

 ANAは4月下旬からベビーカーや車椅子に発信機を取り付けて位置情報を集める実験を始めた。第1弾として羽田国内線ターミナルの合計約300台に組み込み、空港業務にあたるスタッフに専用アプリを入れたスマートフォン(スマホ)を配布した。

 アプリを開くと「ベビーカー、出発ロビー3番カウンター6台」などと表示される。スタッフは持ち場の残数が減り始めると、台数の多い場所を検索して回収する段取りだ。

 一般的にベビーカーや車椅子は出発ロビーからゲートへ、またゲートから到着ロビーへと動く。出発と到着の動線は交わらないため、ベビーカーや車椅子は自然には戻ってこない。これまではスタッフが経験と勘で探してスタート地点へ戻していた。ただ、繁忙期には作業が間に合わずスタッフが空港内を走り回ることもあった。IoTの導入で効率を高める。

 第1弾の実験は6月末まで実施。スタッフにアンケートしたところ、80%以上から「満足」との回答を得た。残る不満点は「情報をあてにして現地へ行ったが、実際は無かった」といったもの。位置情報の更新頻度が3分間隔のため、ほかのスタッフと作業が重なればこうした肩すかしが起きてしまう。

 今後はシステムの使い勝手や現場作業の段取りも改良しながら実験を続ける考えだ。全日本空輸・業務プロセス改革室イノベーション推進部の野村泰一部長は「まだ現状にテクノロジーをぶち込んだだけ。本当に役立つものにするには手間をかける必要がある」と説明する。ベビーカー以外にも、ペットのケージなど数の少ない備品の管理に役立てられそうだ。

 ANAは空港内の案内役として、ソフトバンクグループのヒト型ロボット「ペッパー」の活用も模索している。胸のタッチパネルで知りたい情報を選んでもらい、他社の乗り継ぎカウンターやラウンジを音声と画像で案内する。乗り継ぎが集中する時間帯などで人とロボットが作業を分担できるかもしれない。

 「空港は国と航空会社のサービスの顔になる」。野村部長は強調する。利用客の満足度を上げるためには多くの人員を置けばよい。しかし20年以降の航空需要の予測は難しく、むやみやたらに採用を増やせば固定費は将来足かせになる。サービスの品質向上と効率化を両立する知恵が求められている。(比奈田悠佑)

[日経MJ2017年8月16日付]

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