2018年11月17日(土)

稲田氏不在では解明できない

2017/8/11 2:30
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せっかく国会で審議をしても、これでは意味がない。衆参両院が10日、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題に関する閉会中審査を開いた。だが与党が稲田朋美元防衛相らの出席を拒んだため、組織的な隠蔽を巡る真相解明には程遠い質疑となった。

小野寺五典防衛相は冒頭、情報公開の請求があった日報を陸上自衛隊が隠蔽し、防衛省・自衛隊の幹部も対応を是正できなかった事実を説明した。同時に「極めて重大で深刻なものだ。国民に本当に申し訳ない」と謝罪した。

一方で具体的な隠蔽の経緯に関しては、7月28日に公表した特別防衛監察の結果を読み上げる場面が目立った。稲田氏の関与の有無は、監察結果でもよく分かっていない。焦点である2月の幹部会議に統合幕僚監部総括官として出席した辰己昌良審議官は、野党の質問に「特別防衛監察の結果に記述されている通りだ」と繰り返し、事実関係の説明を避けた。

与党が当事者の招致を拒み、一部がようやく実現しても曖昧な答弁を繰り返す構図は、森友、加計両学園での審議と共通している。真相の解明は不都合だと言わんばかりの対応が、安倍政権への有権者の不信感を膨らませている。

森友学園への国有地払い下げ問題で財務省理財局長として「土地売買の交渉記録は破棄した」と再三答弁した佐川宣寿氏は、国税庁長官の就任に当たって慣例の記者会見を見送った。理由は「諸般の事情」だという。どんな事情があるのかぜひ教えてほしい。

今回の日報問題では防衛相、防衛次官、陸上幕僚長が相次いで辞任した。北朝鮮はその後も弾道ミサイルの発射実験を続け、新たに公表した米領グアム周辺への中距離ミサイル4発の発射計画では「島根、広島、高知の各県上空を通過する」と言及した。

国の安全保障には一刻の猶予もない。小野寺防衛相は組織の立て直しと再発防止策の徹底を急ぐとともに、北朝鮮などの脅威への対応に全力を挙げて欲しい。

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