2018年11月17日(土)

50歳のASEANは中国にどう向き合うか

2017/8/9 2:30
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東南アジア諸国連合(ASEAN)はきのう発足から50周年を迎えた。国際社会で大きな存在感をもつまでに発展した半世紀の歩みは、高く評価できる。だが足元では新たな難題に直面している。

地域の秩序を支えてきた米国の指導力が揺らぐ一方で、中国が影響力を飛躍的に高めている。この地殻変動にどう向き合っていくかを、問われているのである。

目下の焦点はいうまでもなく南シナ海の問題である。7日にマニラで開いたASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会合でも、北朝鮮の核・ミサイル開発とならぶ主要な議題となった。

この問題をめぐっては昨年、ハーグの仲裁裁判所が中国の主張を全面的に退ける判決を出した。しかし中国は受け入れを拒み、一方的に造成した人工島の軍事拠点化を進めている。

ASEANの対応は微妙に揺れている。ARFに先だって開いたASEAN外相会議の共同声明は、「深刻な懸念」を示した昨年より微温的な表現にとどまった。

マニラでは今回、ASEANと中国の外相会合も開かれ、南シナ海の紛争回避のルールとなる「行動規範」の枠組みで合意した。焦点となっていた法的拘束力の明記はできず、実効性に疑問符がつきかねない情勢である。

中国ペースの展開となった背景としてはまず、米国の指導力の後退を指摘できよう。オバマ前政権は「アジア回帰」を掲げ、南シナ海では「航行の自由作戦」で中国をけん制する姿勢を明確にしていたのに対し、トランプ政権のアジア政策は腰が定まらない。

フィリピンでは中国に強硬だったアキノ政権に代わって融和的なドゥテルテ政権が登場した。領有権をめぐり鋭く対立するフィリピンやベトナムをふくめ、多くの国が中国マネーに期待していることも、中国に有利にはたらいた。

一連のASEAN関連の会議が実質的な外交デビューの場となった河野太郎外相は、中国の王毅外相との会談で「大国としてのふるまい」を求めた。一方の王外相は、南シナ海をめぐる河野外相の発言に「失望した」と語った。

日本はASEANと良好な関係を築いてきた。中国の台頭にどう対処するかという課題を共有してもいる。亀裂が走りがちなASEANに結束を促しながら、連携を一段と深めていく粘り強い外交を進めていかなくてはならない。

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