対北制裁決議の厳格な履行を
北朝鮮の軍事的な挑発に歯止めをかけるべく、中国、ロシアを含めた国際社会が結束し、強い圧力をかけたといえるだろう。
大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル発射を2度も強行した北朝鮮に対し、国連安全保障理事会が制裁を一段と強化する決議を全会一致で採択した。
決議の柱は、北朝鮮にとって主要な外貨収入源である石炭や鉄・鉄鉱石、鉛と海産物の全面禁輸を打ち出したことだ。これにより北朝鮮の輸出収入の約3分の1の削減が見込まれるという。
石炭などの禁輸措置は過去の決議にも盛り込まれたが、民生利用は除くといった例外規定があり、事実上機能しなかった。今回は例外なく禁輸することで、制裁の実効性をより高めるようにした。
決議は同時に、北朝鮮労働者の国外での新規の雇用禁止、北朝鮮との合弁・共同事業体の設立禁止なども明記した。いずれも北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源を大幅に抑制するのが狙いで、金正恩(キム・ジョンウン)政権にとって痛手となる可能性がある。
もちろん大切なのは、安保理決議の厳格な履行だ。密輸の監視や摘発を含めて、各国が抜け穴を防いでいく取り組みが欠かせない。北朝鮮から労働者をすでに受け入れている国々は、自主的にその削減にも動くべきだろう。
とくに、北朝鮮の貿易取引のおよそ9割を占める中国の役割は重要だ。北朝鮮の核・ミサイル開発は世界の平和と安全を揺るがす深刻な脅威となっている。中国は安保理常任理事国としての責務も自覚し、率先して決議内容の順守に努めてもらいたい。
北朝鮮が今後、決議採択に反発して挑発を加速する恐れは十分にある。ICBM級の弾道ミサイル発射や核実験を再び強行する懸念も否定できない。北朝鮮のさらなる暴走を阻止すべく、一層の圧力をかけていく必要もあろう。なかでも石油供給の停止は、正恩政権に翻意を促す決定打として真剣に検討していくべきだ。