春秋

2017/8/2 2:30
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かつて「特捜神話」というものがあった。東京や大阪の地検特捜部は巨悪に目を凝らし、わるいやつらを眠らせず、必ずや不正にメスを振るう。人々はそんなイメージを抱いていた。あるときは今か今かの世論を背に満を持して、またあるときは電光石火の早業で――。

▼ロッキード事件が生みだし、リクルート事件で膨らんだ幻想は、しかし崩壊した。決定打になったのは、郵便不正事件の証拠改ざんと陸山会捜査の不首尾である。とんと輝きを失った特捜検察は、さてこの難関をどう越えるか。証拠改ざんの傷なお癒えぬ大阪の特捜部が、森友学園をめぐる疑惑で前理事長夫妻を逮捕した。

▼容疑は補助金詐取である。しかし誰もがいちばん知りたいのは、小学校用地として国有地が8億円も値引きされ渡った経緯だ。前理事長らはかつて安倍首相の妻、昭恵さんに取り入り、夫人は何度も幼稚園を訪れた。そんななかで売却話は進んだ。昭恵さん付の政府職員が財務省に進捗状況を照会したこともわかっている。

▼忘れていたあれこれを思い出させ、あらためて国民の関心をかき立てているのだから、特捜検察への期待はかろうじて命脈を保っているのかもしれない。ならばこのさい、どんな関係者もきちんと調べて真相に迫ってもらいたいものだ。昔みたいに気負わず、しかし臆さずに捜査を進めたらいい。神話時代のことは忘れて。

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