2019年5月25日(土)

年金受給要件の緩和だけでは不信拭えぬ

2017/8/2 2:30
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国民年金などの受給要件を緩める改正年金機能強化法の施行で、およそ64万人が新たに年金をもらえるようになる。無年金者減らしに歩を進める制度変更だが、これだけで若者を中心に渦巻く年金への不信感を拭えるわけではない。

高齢層ほど少ない負担で高い給付を受ける年金の世代間格差を縮める改革こそが王道である。信頼が戻れば保険料の未納も減る。年金を政争の具にせず、政権与党と野党が共同で突っ込んだ改革案を建設的に練ってほしい。

改正法は最低25年の加入期間を10年に縮める内容だ。25年は主要国で突出して長かった。私たちは英米両国や税財源を年金原資に充てているカナダなどを参考に、日本に最低10年住めば受給権を得るのが望ましいと提案してきた。

過去には加入25年に満たない人が市役所の窓口で受給資格がないと知らされ、応対した市職員をナイフで刺す悲劇があった。払い損になる人を救うためにも受給要件の緩和は的を射ている。

半面、改正法が与野党全会派の賛成で成立したように、政治家による人気取り策のきらいがある。年金の持続性を高めるのに欠かせぬ厳しい改革についても、与野党は合意点を見いだすべきである。

例えば支給開始年齢の引き上げだ。厚生年金は男の場合、1961年4月2日生まれ以降が原則65歳になる。もっとも主要国の多くは67~68歳への引き上げ途上にある。少子高齢化と長寿化は日本の方が進んでいるのだから、より踏み込んだ荒療治が欠かせまい。

その際、ある程度の激変緩和はいるが若者がこれ以上、割を食わぬよう早く引き上げるのが筋だ。

何歳からもらうか、受給者の選択を広げるのも課題になる。前倒ししても先送りしても年金財政に中立な制度を設計したスウェーデンの例が参考になろう。

既受給者への給付水準を実質的に抑えるには、物価下落時などに名目年金額を前年より減らさない今の仕組みを見直す必要がある。

世代間だけでなく高齢世代内の格差を縮める工夫もいる。それには一定の収入や資産を持つ受給者への年金課税を強め、その分を基礎年金の財源に回すのが有効だ。

国民年金の保険料未納率は30%台半ばと高水準だ。免除者などを合わせた実質未納率は60%近い。より根本的には、年金財源としての消費税増税の可能性を探る税制との一体改革が切り札になろう。

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