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自らの成長実感、人生最大の娯楽は学び
グロービス経営大学院学長 堀義人氏(75)

2017/8/2 6:30
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 「人生を楽しむことの天才」。僕は自己紹介欄に必ずそう記載している。妻からは、「天才と自らを呼ぶのは、あまり感じがよくない」と言われるが、一向に気にしていない。小さい頃から遊ぶこと、楽しむことが大好きだったからだ。好奇心を働かせ、何か楽しそうなことがあればすぐに試し、もっと楽しいことがないかを日々探しながら生きてきた。20代には毎晩のようにディスコに繰り出し、30代にはできる限り子どもと遊ぶ時間をつくった。40代には囲碁やスノーボードを楽しみ、水泳の大会にも出場するようになり、50代では山登りを始めた。

 一口に楽しみといってもいくつかの種類に分類できる。1つ目が享楽的、刹那的な楽しみだ。僕の場合は親しい仲間とお酒を飲み、ディスコやクラブで踊り、夜通し遊ぶことである。この楽しみの特徴は、翌日に反省することが多いことだ。「ついつい飲み過ぎた、ハメを外し過ぎた、散財してしまった」となる。だからこのタイプの楽しみは長続きしない。

 2つ目は人間と知り合う楽しみだ。パーティーやイベントを開催したり、夕食会や勉強会に参加したりすることだ。これらのネットワーキングは、「社会的動物」である人間として必要不可欠だ。1人では何もできない。だからこそ、人的ネットワークを広げて、得意分野が異なる仲間で役割分担して行動することが重要になる。新たな人間に出会う楽しみは生産的だ。だが、それだけを目的にすると疲れてしまう。

 3つ目の楽しみが、自らの成長が実感できる「学び」である。英語の学習、スピーチ能力向上、人間関係能力の熟練、テクノロジーの習得などだ。MBA(経営学修士)を取得しに大学院に通うのも典型的な方法だ。そして学びは知識・能力面だけにとどまらない。心・技・体の面で、自分の成長が実感できるものを指す。

 例えば「体」の面では、僕は今、週3日プールで泳ぎ、水泳のタイムを縮める努力をしている。いつかは年齢別の世界記録を出すことを目標に掲げている。「技」の面では、囲碁でいつか高段者になりたいと思い、棋士の対局を見て勉強し、棋力を養っている。「心」の面では、米国のアスペン研究所で西洋哲学を学んだり、インドのアシュラムに1週間滞在して、東洋哲学を学んだりしている。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。55歳。

堀義人(ほり・よしと)1986年京大工卒、住友商事入社。米ハーバード大経営大学院で経営学修士号(MBA)取得後、92年にグロービス設立。「ヒト・カネ・チエの生態系を作り社会の創造と変革を行う」ことを目標に、経営大学院の経営、ベンチャーキャピタルの運営、経営ノウハウの出版・発信を手掛ける。茨城県出身。55歳。

 「学び続けていると疲れないですか」と言われるけど、これがまったく飽きることがないのだ。飽きるどころか、寝る間を惜しんで取り組み、心から楽しんでいる。僕は毎年、元日に自分の成長のためのテーマを設け、自分なりに教育プログラムをつくり、お金を投資したり時間を配分したりして、計画的に学ぶようにしている。今では、時間が足りないぐらいだ。

 「3つの分類の中で、どれが一番楽しいのだろうか?」と自らに問いかけてみた。すると、ありとあらゆる楽しさを体感して至った結論は「最大のエンターテインメント(娯楽)は学びである」ということだ。

 結局、一番楽しいと思えるのは、昨日できなかったことが今日できるようになり、今日できることが明日にはもっとうまくできることになる、という自らの成長だ。そのためのプロセスであれば、つらいと思えることであっても楽しめるようになるものだ。

 もちろん楽しみを1種類に限る必要はない。僕もときには銀座や六本木のクラブで享楽的に楽しみたいと思う。これからもダボス会議などに参加しながら様々な人との出会いの輪を広げ、いろんな刺激を得たいと思っている。つまり、享楽的・刹那的な楽しみ、新たな人間と出会う楽しみを味わいながらも、徹底的に自らが学ぶ楽しみも享受していきたいと思っている。

 自称「人生を楽しむことの天才」の一意見だが、皆さんが楽しく生きるための参考になれば幸いだ。

[日経産業新聞2017年7月28日付]


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