2018年8月22日(水)

春秋

2017/7/25 2:30
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 半眼で身じろぎもせずに、土俵の下で取組を待つその姿は、まるで悟りを得た人のようであった。大相撲名古屋場所で最多勝記録を更新し、39回目の優勝をも遂げた横綱白鵬である。気高ささえにじみ出ていて、奈良・薬師寺の薬師如来像を連想した。2メートル超の座像だ。

▼この国宝の銅像には遠い昔、金のメッキが施されていたという。しかし、今ははげ落ち黒褐色の光沢が美しい。むしろ、顔貌や肉付きはくっきりしたかもしれない。当初の華やかさやきらびやかさがなくなり、逆に魅力が磨かれる。古美術の世界なら「時」の試練は味方にもなるだろうが、生身の人間にはしばしば残酷だ。

▼本紙などの世論調査で安倍内閣の支持率は39%という。発足まもない2013年4月の76%からほぼ半減である。「人柄が信頼できない」が不支持理由のトップでは挽回は相当難しいと見る向きもある。「アベノミクス」「一億総活躍」など多彩なスローガンが飛び交った政権にも「終わりの始まり」が訪れたのだろうか。

▼「勉強しろ」と言われ、気分よく実行に移した人はまずいまい。「説明せよ」と迫られた国会の閉会中審査で、首相は居心地悪げに浅く腰掛け、嵐が過ぎるのを待つふうでもあった。真相の解明も遠そうだ。ちなみに薬師如来は体の病だけでなく、強欲や不正直などの悪癖をも癒やすという。きょう、参院に降臨願おうか。

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