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変わる日本企業の米VB投資の目的
ネットイヤーグループ社長 石黒不二代

2017/7/25 6:30
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 ベンチャーキャピタル(VC)といえば、言わずと知れたスタートアップ企業への投資家の代名詞である。VCがファンドを組成するとき、そのための資金のほとんどを外部から調達する。ファンドに資金を提供する外部投資家は、リミテッドパートナー(LP)と呼ばれ、主に大企業や年金などの資産運用会社で、まれに裕福な個人が含まれることもある。

1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。
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1994年にスタンフォード大学経営大学院を修了、シリコンバレーでコンサルティング会社を起業。2000年から現職。

 100億円のファンドを組成するとしよう。そのうち99億円はLPからの投資、残りの1億円はゼネラルパートナー(GP)、一般的にはベンチャーキャピタリストと呼ばれている人たちが受け持つ。

 たいていの場合、投資のリターンの80%をLPが、20%をGPが受け取る。GPはさらに給与に相当するマネジメントフィーを毎年ファンドから徴収する。ずいぶん割のいい職業に思えるが、LPにとっては、GPがもたらしてくれるリターンへの期待値の高さの表れとも言える。

 米国では、このVC投資の3分の1強がシリコンバレーのスタートアップに投下される。シリコンバレーが成長し続ける背景には、起業家の数の多さや質の高さだけでなく、あまたある成熟したVCの存在もある。

 シリコンバレーにいるGPのほとんどが成功した起業家で構成されている。彼らが優れた経営陣を探したり、自らのネットワークで顧客やパートナーを紹介したり、企業戦略を助言したりする。

 GPの仕事はスタートアップの価値を高めることにある。GPはスタートアップのために日夜働き、LPはGPの仕事の成果であるフィナンシャルリターンを期待する。これがVCおよび投資ファンドの基本構造だ。

 昨今、これらの構造が様変わりしている。特に日本の大企業がLPとなる場合である。なぜならLPの期待が投資のリターンだけではなくなってきているからだ。

 米国に本拠を置くWiLは360億円のファンドを組成した。LPはソニー日産自動車といった日本の大企業だ。出資企業の中堅幹部はシリコンバレーにあるWiLのオフィスで研修を受け、現地のIT(情報技術)企業を訪問する。

 彼らは日本と異なるビジネスのやり方やスピード、戦略を目の当たりにする。人の意識を変えることでイノベーションが起こる体質をLPである大企業にもたらすのが目的だ。WiLは、大企業が持つ技術をスピンオフさせてシリコンバレーのスタートアップの技術と融合させることもファンドの目的に掲げている。

 米国のジオデシック・キャピタルは元駐日大使のジョン・ルース氏が共同創業者として立ち上げたVCだ。1号ファンドの規模は3億3500万ドルと巨大だ。日本やアジア市場への参入を目指すスタートアップへの投資に特化するという。このファンドのLPにも三菱商事や三井住友銀行などが名を連ねる。彼らは日本市場に参入したスタートアップとの協業をもくろんでいる。

 日本にも新しいタイプのVCが登場している。D4V(東京・港)は、デザインによって製品・サービスの価値を上げる「デザインシンキング」で投資先の企業価値を高めている。D4Vはデザイン経営の方法論をLPとなった大企業に伝えている。

[日経産業新聞2017年7月20日付]


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