春秋

2017/7/17 2:30
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昭和天皇の玉音放送に至るまでの24時間を描いた岡本喜八監督の映画「日本のいちばん長い日」に、印象的な場面がある。東京・市ケ谷の陸軍省の裏庭で軍の機密書類が大量に燃やされ、夏空に黒煙がもうもうと立ちのぼる。そんなカットが、本編に何度か挿入される。

▼当時、内務官僚で戦後、法相などを歴任した故・奥野誠亮氏が公文書焼却の内幕を証言している。戦争責任を逃れるためだった。焼却を免れた文書は米軍が没収し、国務省公文書部が保管。その後、日本に返還され防衛省の研究機関が所蔵している。不完全ながら第2次世界大戦の戦史の研究ができるのは米国のおかげだ。

▼過去の反省からか。公文書管理法には立派なことが書いてある。公文書は民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源だ。主権者たる国民が主体的に利用するのだから適切な保存が必要だと。国有地が安値で売却された森友問題で財務省は交渉記録を適法に廃棄したと国会で繰り返した。その答弁者が国税庁長官に就いた。

▼割り切れぬ気持ちの納税者もいるだろう。だが、削除したデータを復元する最新の捜査技術「デジタル鑑識」を駆使すれば記録はよみがえるはず。そのお手伝いをするのは森友問題の告発を受理した大阪地検特捜部が適任か。かつて証拠の磁気ディスクを改ざんし世論の批判を浴びた反省と経験を真相究明に生かせばいい。

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