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ウーバー騒動は対岸の火事ではない

2017/7/14付
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 スマートフォンを活用した配車サービス大手、米ウーバーテクノロジーズの経営の混乱が続いている。6月20日に創業者のトラビス・カラニック最高経営責任者(CEO)が辞任し、財務や法務などの責任者も空席のままだ。

 同社は企業価値の評価が円換算で7兆円を上回り、世界最大のベンチャー企業といわれる。経済の活性化に向けてベンチャーを育てる必要のある日本にとっても、経営体制の整備など学ぶべき教訓が、今回の騒動にはある。

 ウーバーは2010年にハイヤーの配車を始め、一般のドライバーが利用者を運ぶライドシェア(相乗り)が人気を得た。現在、サービスは世界の450を超す都市に広がっている。

 事業の急拡大の背景にあるのは成長を最優先する企業文化だ。ライドシェアは各地でタクシー会社や規制当局との摩擦を生んだが「まず事業を始め、問題はあとから解決する」姿勢を貫いてきた。

 カラニック氏が築いたこうした企業文化は深刻な問題も引き起こした。女性社員のセクハラの訴えを無視し、競合企業から自動運転の技術を盗んだとの疑惑が浮上した。カラニック氏のドライバーに対する暴言も問題になり、大株主のベンチャーキャピタルから辞任を求められた。

 一連の問題から浮かび上がるのは、ブレーキ役となる人材がいなかった実態である。同じように急成長したグーグルやフェイスブックでは、大企業などで経験を積んだ人材が幹部として経営陣に加わり若い創業者たちを支えた。

 日本のベンチャー投資は米国より大幅に少なく、起業家の裾野も狭い。そのため政府は、成長戦略の一環としてベンチャーの創出を掲げ、リスクマネーの供給体制を強めることを目指している。

 ベンチャーの資金調達が増えるなど変化の兆しも出てきた。米国に比べてベンチャーキャピタルは未成熟な半面、大企業が投資部門を設けるなど新たな企業や事業の育成で存在感を高めつつある。

 気がかりな点のひとつは、資金や技術に焦点が当たる一方で人材への関心が低いことだ。

 大企業は多様な知見を持つ人材を抱えている。人材の流動性を高め、経験を積んだOBがベンチャーの経営を支える立場に回る、といった取り組みが必要だ。こうした流れができれば、ベンチャーの成長がより確かなものになる。

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