若者が投票しやすい仕組みに - 日本経済新聞
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若者が投票しやすい仕組みに

18歳選挙権が実施されて1年になる。教育現場での主権者教育は順調だし、高校生が政治参加することへの世間の違和感はかなり薄れたようだ。他方、進学や就職で引っ越した場合の投票しにくさは相変わらずだ。投票率向上には、投票所に足を運びやすくする仕組みづくりが必要だ。

10代の投票率で特徴的なのは18歳に比べ、19歳の投票率が著しく低いことだ。

日本人は高校卒業まで生まれた地域に住み続けることが多い。18歳有権者は候補者名になじみがあるし、同居する親に投票を促される機会もあるだろう。

他方、19歳になると、出身地を離れ、都会でひとり暮らしする人が増える。住民票を移していなければ、選挙の案内が届かずじまいだったりする。

引っ越したのに住民票をそのままにしておくのは褒められたことではない。ただ、地域によっては過疎化の進行を懸念し、親に「住民票を残させておかないと行きっきりになるよ」などと"指導"する事例もあるようだ。

居住地に住民票がないと、投票するのは簡単ではない。以前の居住地の選挙管理委員会に投票用紙の送付を請求し、届いたら現在の居住地の不在者投票所に行く。請求は選挙が公示・告示されてからでないと受け付けてもらえない。不在者投票所はふつうの投票所よりもずっと少ない。

衆院選のように選挙期間が12日間しかない選挙で、以上の作業を期間内に終えろ、と若い有権者に求めるのは、選挙に行くなと言っているようなものだ。

住民票を移動させた場合でも、新住所で投票できるのは3カ月後だ。4月に進学し、一段落してから住民票を動かしたのでは、7月にあることが多い参院選には間に合わない。国政選の選挙人名簿の書き換えに3カ月もかかる合理的な理由はない。

若者の声が国政に届きにくい現状を放置したままでは、真の民主主義国家とはとても言えまい。

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