高齢者を支える事故対策に

2017/7/9 2:30
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高齢ドライバーによる交通事故を防ぐため、政府が新たな対策をまとめた。自動ブレーキなどを備えた「安全運転サポート車」を普及させ、こうしたタイプの車に限って運転できる限定免許の導入などを打ち出している。

当然のことだが、交通事故は高齢者に限らない。誰が運転し、どんなトラブルが起きたとしても事故の抑止や被害軽減が期待できるという点で、車そのものの安全性を高めることは最優先の課題だ。

自動ブレーキや、アクセルの踏み間違いによる急加速を防ぐ仕組みはすでに実用化されているが、現状はメーカーによって性能にばらつきがある。国が主導して客観的な基準作りや信頼性を確認・公表する制度の創設を急ぎ、安全な車の普及を加速させてほしい。

高齢者事故対策の基本は、判断力や運動能力が著しく低下したドライバーの自覚を促し、免許の返納につなげていくことだ。

新たな対策では、交通違反や事故を繰り返す80歳以上のドライバーに対し、実車を使った試験を課すことを検討する。認知症の疑いがある高齢者に医師の診断を義務付けた改正道路交通法も3月に施行された。こうした取り組みを着実に実施していく必要がある。

ただ高齢者の事故対策は、運転能力が衰えた人を見つけ、免許を取り上げて終わる話ではない。運転ができなければ生活の足が確保できないという地方は多い。買いものや病院にも満足に通えず、外出の楽しみを奪うことが政策の最終的なゴールであるはずはない。

警察庁は各地の免許センターで相談を受ける態勢を充実し、できるだけ長く運転ができるようにするための教育プログラムの開発に力を入れるという。国土交通省もタクシー相乗りサービスの実証実験や、人と荷物を一緒に運ぶ貨客混載などを推進する考えだ。

数年後には団塊の世代が後期高齢者になる。事故防止を最優先にしながらも、高齢者を支え、生活の質や尊厳を損なわない制度を築いてもらいたい。

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