自律的な成長になお努力を
日銀がまとめた6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、企業の景況感の改善が、大企業製造業だけでなく非製造業や中小企業にも広がってきたことが鮮明になった。企業収益の改善を賃上げ、消費拡大の好循環につなげることが今後の課題になる。
企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業で3期連続、同非製造業でも2期連続で改善した。出遅れていた中小企業の非製造業でも建設業や宿泊・飲食サービスなどを中心に景況感が好転した。訪日外国人の増加や日銀の金融緩和に伴う資金繰りの改善が好影響を及ぼしている。
企業が抱える先行きの課題は人手不足だ。雇用人員判断DIは製造業・非製造業で規模を問わず、人手不足を示す数字を示した。
企業は省力化投資や外国人労働者の活用などで人手不足に対処し始めている。それにとどまらず人材確保のための賃上げを進め、消費拡大や物価上昇につなげ、経済全体が自律的な好循環に向かうよう努力してほしい。
企業の景況感の改善の背景には、為替相場の円安、海外経済の好調に加え、大規模な金融緩和や財政刺激策など政策による下支えもある。日本経済を自律的で持続的な成長軌道に乗せるには、こうした海外頼み、金融・財政政策頼みから脱する必要がある。
短観では、足元の景況感は堅調だが、3カ月先の先行きを示すDIからは、多くの企業が先行きについて慎重にみている姿が読み取れる。為替相場の変動や、米国、中国など海外経済への不安が残るためだろう。
為替相場や海外経済など、外的要因で景気回復が途切れないようにするには、規制緩和による投資機会の拡大や労働市場などの構造改革を通じて、国内の成長力を高めることが欠かせない。
東京都議選での自民党惨敗で、政治の先行きに不透明感が出ているが、政府は、生産性を高め、企業の技術革新を促す成長戦略を進める努力を怠ってはならない。
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