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「どちらが似合う?」 服を提案、アマゾンのAIカメラ

スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜

4月に米国で発表された米アマゾン・ドット・コムの新デバイス「エコールック」。ファッション領域に特化し、ハンズフリーカメラとスタイルアシスタントの機能が特徴のこのデバイスは、現在招待制で販売がはじまっている。価格は200ドル。手に入れることができたので使い始めた。

エコールックを使い始めた

アマゾンが開発する、人工知能(AI)を使った音声認識システムのアレクサが搭載されている。「写真を撮って」と話しかけると、発光ダイオード(LED)フラッシュが光り全身写真を撮影してくれる仕組みだ。

専用アプリと連動し、毎日の自分のスタイルを記録できる。日々のスタイルを記録するアプリはこれまでもあったが、それらは基本的に鏡の前に立って撮影するか、誰かに撮ってもらう必要があった。エコールックは声で操作できるので、手を塞ぐことなく適切なポージングで撮影できる。

カメラは肩の高さに設置する。撮影するときは1.5メートルほど離れた場所に立つ。撮影後に人間の輪郭を検知して写真の一部を切り抜いてくれるのだが、全身がうまく写る適切な位置を把握するのには少し手間取った。位置が決まったら、その後は常にその位置で撮影することになる。動画も撮影できるため、後ろ姿を確認することも可能だ。

どちらが似合っているかも指摘する

日々を記録するだけでなく、スタイルチェックもしてくれる。アプリを使い2つの写真を選ぶと、どちらがよいか判断してくれる。基準はフィット感、色、組み合わせ、トレンド。どちらが似合っているかは32%対68%などと表示される。

アプリの判断とは別に自分自身はどちらが好きかも登録できる。そういった情報を加味して、さらにスタイルチェックの精度は高くなっていくという。データはアマゾンのクラウドに送られている。これらを使い、私が好きそうな服を今後すすめてくれるだろう。

アマゾンに対してファッションのイメージはあまりないかもしれない。だが実はアマゾンは独自のファッションブランドを7つも擁し、米国では昨年百貨店チェーンのメイシーズを抜いて最も衣料品を販売している。

ルックを活用したレコメンドのポイントは、購入データではなく、着用データである点にある。誰しも経験があると思うが、買ったものの着ない服もある。ルックならアマゾン以外で購入した服も含め、個人がよく着ている色やスタイルの傾向、頻繁に着ている服などアプリを介して把握できる。購入履歴よりもさらに深いプロファイルとなることは間違いない。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

アマゾンは先日、プライムワードローブという無料試着サービスをリリースした。プライム会員であれば気になる服を取り寄せることができ、実際に試着して気に入ったものだけを買いとり、不要なものは返送する。送料はアマゾン負担だ。

ルックによる着用データ収集、そのデータを活用した精度の高いレコメンデーション、そしてプライムワードローブによる家での試着――。ファッションにおいてもアマゾンに依存する流れができているわけだ。

ルックは他のアレクサ搭載デバイスと同じようにボイスアシスタントとしても活用できる。出がけに「ジャケットは必要?」と聞くと今日の天気と気温を教えてくれる。アマゾンで買い物することもでき、設定すれば近所のスターバックスでコーヒーを頼んだり、自分の今日の予定を確認したりすることもできる。

筆者の家の寝室にはアマゾンエコードットがある。今回のエコールックは玄関先でお出かけ前に活躍しそうだ。今後アレクサは一家に1台ではなく、用途に合わせて様々な場所に配置されることになるだろう。

ただ200ドルというのはやはり高い。当初は180ドルだったアマゾンエコーが廉価版のアマゾンエコードットを50ドルで発売したように、将来は50ドル以下になることを期待したい。

[日経MJ2017年6月30日付]

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