ITの巨人と対峙する欧州

2017/6/29 2:30
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欧州連合(EU)の欧州委員会が米IT(情報技術)大手のグーグルに対し、円換算で3000億円にのぼる巨額の制裁金を科すことを決めた。ネット検索における支配的な地位を乱用し、公正な競争を妨げたと判断した。

アマゾン・ドット・コムやフェイスブックなど米国のIT企業の影響力が増し、日本でも公正取引委員会が監視を強化する方針を示している。対応で先行する欧州の動向に注目したい。

欧州委員会によると、グーグルは検索サイトで商品情報を調べた利用者に対し、自社の価格比較サービスの内容を優先して表示した。この結果、競合サービスの利用が減り、競争が弱まったという。グーグルは欧州委員会の判断を不服として、EU司法裁判所へ上訴する検討に入った。

欧州委員会は5月にも、フェイスブックがEU競争法(独占禁止法)に違反したとして140億円相当の制裁金を科している。欧州では寡占への警戒感が強く、厳しい対応が目立つ。

背景にあるのは、IT分野で「1強多弱」の色彩が濃くなっているという事情だ。ネットのサービスは利用者が増えるほど使い勝手が高まり、こうした傾向が強まりやすい。

日本では2010年、ヤフーがライバルであるグーグルのネット検索技術を導入する際に公正取引委員会は「問題なし」と判断し、ほぼすべての企業がグーグルの技術を使うようになった。従来、競争当局の対応はこのように鈍かったが、データの独占への監視を強めるなど変化の兆しもある。

ただ、ネットのサービスは無料なことも多く、価格の不当な引き上げなどを材料とする従来の基準では規制が難しい。技術の移り変わりが速く、競争状況が一変しやすい点も対応を困難にしている。

日本でも欧州の事例から学ぶとともに、必要に応じて競争当局どうしが協力し、時代の変化に即した形で健全な競争環境を保つ必要がある。

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