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環境債に自主的な指針 透明性確保へ改定続く
日本総合研究所理事 足達英一郎

2017/7/3 6:30
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 今月14日、パリ2区にあるパレ・ブロンニャール(旧パリ証券取引所)に、300人以上の金融関係者が世界から集まった。ここはナポレオンの命によって建築された歴史ある建物だ。開催されたのは「グリーンボンド(環境債)原則」の2017年総会で、筆者もこの会議に参加した。

パレ・ブロンニャール(旧パリ証券取引所)に世界中の金融関係者が集まった
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パレ・ブロンニャール(旧パリ証券取引所)に世界中の金融関係者が集まった

 グリーンボンドとは、環境対策に関わる新規または既存のプロジェクトに要する資金を調達するために発行される債券を指す。この5年ほどの間に、こうした債券発行が急増してきた。

 当初は開発金融機関が主な発行体だったが、現在では銀行、企業、自治体、国にも拡大。資金使途としては、例えば、再生可能エネルギー発電施設、省エネルギー設備、環境配慮型ビル、公共交通網の整備などがある。債券の発行額は14年の約370億ドルが、15年に約420億ドル、16年には約810億ドルに達している。

 一方で、市場の質の高い発展のためには、グリーンボンドと名乗る要件を定めることが不可欠という認識が関係者のあいだで共有された。14年1月には、債券発行支援をビジネスとする欧米の証券会社が中心となって、自主的なガイドラインが作られた。これがグリーンボンド原則だ。

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 「資金使途」「事業評価・選定プロセス」「資金管理」「レポーティング」の4つの要素において、透明性を確保することを求めている。

 同時に、グリーンボンド原則を関係者に広く普及させていくため、メンバーシップ制を採用。17年6月20日現在で世界で137の投資家、発行体、アンダーライター(引受人)が名を連ねている。総会ではこうしたメンバーが一堂に会した。

 今回の総会で、注目すべき点は3つあった。

 第1は、グリーンボンド原則自体の内容の改定だ。実のところ当該原則は14年1月に策定されてから、15年3月、16年6月と毎年改定されてきた。今回の改定では、(1)プロジェクトに潜在する環境側面、社会側面のリスクの特定と管理にも配慮を求める(2)組織全体の持続可能性に関する目標や戦略にも言及することが望ましい――という文言が追加された。これらは資金使途となるプロジェクトが引き起こすネガティブな影響や、発行体の主たる事業の課題にも、投資家や世間の関心が向けられてきた変化に対応するものだ。

 第2は「ソーシャルボンド原則」が新たに制定されたことだ。近年、例えば衛生状態の改善、教育の普及、低所得者向け住宅の整備、雇用創出、食糧確保など、社会に便益をもたらすプロジェクトに要する資金を調達するための債券発行も出現してきた。そうした変化に対応して「ソーシャルボンド」を名乗る場合の要件を定めた。

 第3は、メンバー組織の執行委員会(定数24)に中国四大商業銀行のひとつである中国銀行が加わったことだ。今回の総会では、中国の中央銀行である人民銀行の首席エコノミストである馬駿氏がビデオメッセージを寄せ、「中国が今後も世界のグリーンボンド市場で主導的役割を果たしていく」ことを表明した。

 実際、16年のグリーンボンド発行額に占める中国の比率は27%に達している。今年中には、国内にあるグリーンボンドの要件基準を、グリーンボンド原則などの国際的スタンダードと整合性をとることを決定している。

 世界的なESG(環境・社会・ガバナンス)投資の伸長を背景として、17年には、グリーンボンドの発行額は、1200億~2000億ドルに達すると予想されている。

 日本国内でも、東京都が10~12月に200億円規模を発行することを予定している。環境保全のための資金調達手法として、グリーンボンドは、今後も一定の役割を果たしていくだろう。

[日経産業新聞2017年6月29日付]


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