2019年1月19日(土)

「日の丸再編」は日本の液晶を救ったか

2017/6/22 2:30
保存
共有
印刷
その他

日立製作所東芝ソニーの中小型液晶事業を統合して2012年4月に発足したジャパンディスプレイ(JDI)が苦境に立っている。過去3期連続で純損失を計上し、危機の出口は見えない。有賀修二社長は21日の株主総会で「期待に応えられず、誠に申し訳ない」と陳謝した。

同社の誕生を主導したのは政府系ファンドの産業革新機構だ。2000億円を投じて日本メーカーの大同団結を実現することで、韓国勢などに押され気味の電機市場で優位を取り戻す「日の丸再編」のモデルにする考えだった。

だが、設立から5年たち、当初のもくろみは実現のメドが立たない。JDIの軌跡は、官製再編の限界を浮き彫りにするものだ。

同社の経営のちぐはぐさを象徴するのが昨年末に稼働を始めた石川県白山市の新工場だ。スマートフォンに搭載する高精細の液晶パネルをつくる戦略拠点だが、足元では米アップルを先頭にスマホパネルを液晶から次世代型の有機ELに置き換える動きが急だ。

「市場の先行きを読み誤り、古い技術に投資してしまった」と批判されるゆえんだ。JDIも有機ELの量産を急ぐが、サムスン電子など韓国勢のリードは大きく、巻き返しは容易ではない。

企業経営の両輪はヒトとカネだ。世界のスマホ産業に根を張って市場の動向を先取りし、外野の声にまどわされず正しい決断のできる人材がJDIには欠けていたのかもしれない。

政府系ファンドの資金力はそれなりに大きいが、「カネがあるだけでは競争に勝てず、そもそもの目的である日の丸技術の防衛もおぼつかない」というのが一つの教訓だろう。

組織運営の視点からは、JDIには母体企業3社の「寄り合い所帯」という難しさがあった。加えて大株主の革新機構からの口出しも多く、組織としての求心力や社員一人ひとりの当事者意識が希薄だったという指摘もある。

弱体化した電機に比べ、日本の自動車の国際競争力はなお強い。両者の違いの一つは、自動車は日産自動車マツダのように経営危機の際に外資を受け入れ、外国の人材や知恵を導入することで復活した企業が複数あることだ。

東芝の再建についても「政府支援で技術を守れ」という声が一部にあるが、「日の丸」に過度に固執しても得るところは少ない。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報