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許されぬ想定外の放射能漏れ

日本原子力研究開発機構の施設で作業員が被曝(ひばく)し、1人の肺からは過去に例のない高濃度の放射性物質が検出された。同機構はこれまでも事故や不祥事を繰り返しており、猛省と安全管理体制の改善を強く求めたい。

放射性物質が入った容器を点検中にビニール袋が破裂し、中のプルトニウム粉末などが飛散した。作業員の肺から最大約2万2千ベクレルの放射性物質を検出した。単純計算で1年に1.2シーベルトの放射線量となり、放射性物質を扱う作業者の被曝線量限度をはるかに上回る。

今回は鼻や口から吸い込んだ放射性物質による内部被曝が懸念される。皮膚などに放射性物質が付く外部被曝と異なり急性症状はないが、肺や血液に入って臓器が被曝し続け、がんになる場合もあるので長期の経過観察が不可欠だ。

原子力機構の説明によると袋の破損は想定外で、密閉空間で作業していなかったという。作業員のマスクの装着法も不十分だった可能性がある。

わたしたちは東京電力福島第1原子力発電所の事故から、常に最悪のケースを想定し、それでも放射性物質の漏れや健康被害がないようにするという教訓を得たはずだ。原子力発電所、研究施設を問わず、この基本を確認したい。

原子力機構はこれまでも不祥事が目立つ。2013年には加速器実験施設から放射性物質が外部に漏れた。高速増殖炉原型炉「もんじゅ」のずさんな機器点検も問題になった。その都度対策を約束してきたが、あらたまらない。

日本の原子力技術を支えてきた同機構は、福島第1原発の廃炉に関連した技術開発を担い、これから「もんじゅ」の廃炉にも取り組む。再稼働した原発の安全性向上などにつながるノウハウの蓄積もある。

今後、その役割は大きくなりこそすれなくなることはない。責務を自覚するとともに国内外の厳しい視線を受け止め、信頼回復へ向けてガバナンス(統治)の強化や意識改革を断行してほしい。

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