再配達減へ日時変更可能に ヤマトの新送り状サービス

2017/6/10 6:30
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宅配最大手のヤマト運輸が5月、インターネットを活用した宅配便の送り状発行サービスを刷新した。荷主は自社の顧客管理システムなどから情報を取り込んで、一度に多くの送り状を印刷できるようになった。同サービスを通じて発送した荷物は届け先に配達予定日時がメールで通知される。再配達の削減が期待できるため、通販会社などに導入を促していく。

インターネットサイトで送り状を作成して印刷できる

インターネットサイトで送り状を作成して印刷できる

5月17日から企業向けの送り状発行サービス「B2クラウド」を開始した。宅配便で商品を発送する企業は、専用サイトにアクセスして届け先の氏名や住所を入力すれば、プリンターから送り状を印刷できる。手書きで送り状を1枚ずつ作成する手間を省き、企業の負担を軽減する。

サイト上で宛先を入力するだけでなく、自社で運用している顧客管理システムなどから受注データを取り込み、まとめて印刷することもできる。

同様のサービスは「B2ウェブ」の名称で2012年から提供しているが、今回の刷新により一度に取り込める送り先データの件数を従来の最大100件から同5000件に増やした。プリンターで一度に印刷できる枚数も同200件から同1000件に増えた。

サービスの開発を手掛ける営業推進部の杉浦兼久係長は「発送件数が増えているネット通販会社などの要望に対応した」と話す。

ヤマトはB2クラウドを法人向け会員制プログラム「ヤマトビジネスメンバーズ」に登録した企業に対して無料で提供している。法人顧客の作業負担を和らげるのが目的だが、宅配便全体の2割に達する再配達を削減する狙いもある。

同サービスを使って発行した送り状の情報はヤマトのシステムに登録される。ヤマトはこの情報と、個人向けの無料会員制プログラム「クロネコメンバーズ」に登録している消費者のデータを連携。消費者に対して配達予定日時を事前にメールや対話アプリ「LINE」に通知する。

通知を受け取った消費者は配達予定の都合が悪ければ、ネット上から日時の変更を依頼できる。消費者は1度目の配達で荷物を受け取りやすくなり、再配達を減らす効果が期待できる。

旧サービスのB2ウェブを利用していた約9万社の企業は、刷新に伴いB2クラウドに移行した。杉浦氏は「18年3月期中に利用企業を2倍に増やしたい」と意気込む。

配達予定の通知を送れるのはクロネコメンバーズ会員に限られるため、消費者に登録してもらう努力が欠かせない。ヤマトは10月1日に消費者が対象となる宅配便の基本運賃を引き上げるのに合わせて、登録者向けの割引制度を拡充する。

以前から消費者がヤマトの営業所に荷物を持ち込んで発送する場合は、基本運賃から100円を割り引いているが、10月1日からクロネコメンバーズ会員はさらに50円を減額する。会員になるメリットを増やして加入を促す狙いだ。

消費者が荷物を発送する際にヤマトの店頭端末「ネコピット」で送り状を発行すれば50円を割り引く制度も用意する。基本運賃の引き上げ額は140~180円だが、これらの割引制度を併用することで負担増を抑えられるようにする。

ヤマトは大口割引が適用されている企業とも9月末までの合意を目指して値上げ交渉を進める。B2クラウドのような作業負担を軽減する仕組みを設けて、値上げの理解を得たい考えだ。

(村松洋兵)

[日経MJ2017年6月7日付]

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