2018年10月16日(火)

戦略特区テコに岩盤規制砕け

2017/6/5 2:30
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ここまで的を外した法案は珍しい。民進党の桜井充参院議員が近く同院に出すと表明した国家戦略特区廃止法案である。施行から2年内に特区廃止を含めて検討するよう政権に義務づける内容だ。

安倍政権が特区に指定した愛媛県今治市での学校法人加計(かけ)学園・岡山理科大の獣医学部新設問題が発端という。しかし、この問題と戦略特区を使った成長戦略とは別の話だ。政権は特区を駆使して岩盤規制をうがつ改革をさらに強化させるべきである。

首相を議長とし、民間有識者で構成する特区諮問会議は、獣医学部の新設を学部空白地域で1大学にだけ認めた。民進党と一部のメディアは政権が他大学を締め出したという趣旨の主張をしている。

1大学に限ったのは獣医師の業界団体である日本獣医師会の主張に配慮したのが実態だ。同会は新設に強硬に反対し、ロビー活動を繰り広げた。その結果、諮問会議は今治市を突破口と位置づけ、まず加計学園に認めた。

そもそも法的な根拠がないままに文部科学省が半世紀あまりにわたり、行政指導で獣医学部の新設を阻んできたことこそが岩盤規制である。既存の学部や獣医師が不利益を被るというのは、競争を嫌がる供給側の理屈にすぎない。

教育と研究の質を高め、食の安全向上や感染症対策の強化で消費者に広く恩恵を行き渡らせるために、新設を自由化するのが筋だ。それまでの間は第2、第3の特区を矢継ぎ早に指定し、意欲ある大学経営者に参入を認めるべきだ。

医学部も同様だ。今春、千葉県成田市の戦略特区で国際医療福祉大が医学部を開設させた。特例を除くと新設は38年ぶりだ。新薬開発など医療技術は高度化している。参入規制にあぐらをかく既存医学部に、時代に即応できる医師を輩出させる力があるだろうか。

加計学園の理事長と首相は友人関係にある。この間の経緯を白日の下にさらすのは当然だが、戦略特区を悪者扱いするのは、それこそ筋が悪すぎる。

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