2019年1月21日(月)

解雇の金銭解決制度は必要だ

2017/6/4 2:30
保存
共有
印刷
その他

裁判で解雇が不当とされたとき、労働者がお金を受け取ることで紛争を解決する制度について、厚生労働省の有識者検討会が報告書をまとめた。制度の必要性をめぐってコンセンサスが得られていないとし、補償金の水準など具体的内容には踏み込まなかった。

解雇が不当で無効と認められても、会社との関係が悪化した人の職場復帰は簡単ではない。復職できない場合、中小企業では補償金をもらえずに泣き寝入りする例も多い。労働者の救済策になる金銭解決の制度は必要だ。今後、制度の創設に向けた議論を労働政策審議会で深めてほしい。

解雇の金銭解決制度は労働者からの申し立てがあった場合を対象とし、補償金の額に基準を設けることが想定されている。

復職以外に金銭補償という選択肢を明示できれば、不当解雇された人が別の仕事で再出発するのを後押しする意義がある。

一方で、労働者に金銭補償を選ぶよう促し、復職を妨げる企業が出てくるとの批判もある。労働組合は「お金を払っての解雇を増やすことになる」と反発している。

しかし、だからといって不当解雇で困っている人を助けられる制度を設けないのは建設的でない。

もちろん、制度の悪用は防がなければならない。国の労働局などの監視強化が求められる。労働者の自発的な申し立てかどうかを厳格にみる必要もある。乱用の防止策とセットで制度設計の議論を進めてはどうか。

個人と雇い主の紛争を処理する労働審判制度では、解雇をめぐるトラブルを金銭補償で解決する例も多い。だが、金額のばらつきが大きい。金銭解決制度をつくって補償金を安定的な額にすべきだ。

欧州諸国の金銭解決制度は補償金の上限を年収の1~2年分などとしている。海外の例も参考に、金額の水準を十分議論したい。

金銭解決を選んだ人が別の職に移りやすいよう、転職支援などの柔軟な労働市場づくりも大事になる。職業訓練の充実も急ぎたい。

日経電子版が2月末まで無料!いつでもキャンセルOK!
お申し込みは1/31まで

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報