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企業は株主に「見えない役員」の説明を

企業の取締役経験者が相談役や顧問に就任する制度を、見直す機運が出てきた。相談役・顧問は権限や責任が曖昧な場合もあり、影響力が強くなりすぎると経営判断をゆがめかねないからだ。

投資家のなかには相談役・顧問を「見えない役員」と呼び、制度そのものを不透明な日本的経営の象徴とみる向きもある。企業は相談役などを置く場合の合理的な理由や、彼らの権限と報酬に関する情報を、株主に説明して理解を得る必要がある。

相談役・顧問の問題が注目され始めたきっかけは、2015年に発覚した東芝の会計不祥事だ。社長経験者が相談役として経営に隠然たる影響力を持ち、同社の企業統治(コーポレートガバナンス)を弱めたと批判された。

東芝は経営の透明度を高めるため、16年に相談役の制度を廃止した。今年に入っても大手流通業のJ・フロントリテイリングや繊維大手の日清紡ホールディングスなど、ガバナンス改革の一環として相談役・顧問制度をとりやめる例が続いている。

経済産業省によれば、約6割の上場企業に相談役や顧問が在籍している。少なからぬ報酬が支払われ、個室や車、秘書がつく場合も多いというが、詳しい情報が株主に開示されているとは必ずしもいえない。権限や責任が常にはっきりしているとは限らないため、待遇が妥当なものかどうかも客観的に判断しにくい。

国内外の機関投資家の間には、相談役などに関する説明を企業に求める動きが出ている。不透明な制度を持つ企業は株主総会の取締役選任議案で反対票が増えるといった事態も、今後は考えられる。相談役・顧問制度を持つ企業は経営説明会などの場で、目的や待遇などをきちんと説明しておくことが欠かせなくなる。

もちろん、OBの知見が経営の助けになることは少なくないだろう。彼らが現役トップの暴走や居座りをただす事例も過去には散見された。しかし、経営への助言や監視といった機能は独立性の高い社外取締役が担うというのが、世の趨勢というものだ。

成功した社長が異業種のトップに転じ、大企業の役員はベンチャーに移り経験を伝える。日本経済の活性化には、そんな経営人材の流動化が求められる。企業が取締役経験者を自社に長く留め置く理由はないはずだ。

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