データビジネスを育てよう

2017/5/29 2:30
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スマートフォンやモノのインターネット(IoT)を通じて日々大量のデータが生みだされる。こうしたビッグデータをうまく使いこなし、生活の利便性向上や価値創出につなげたい。それにはデータの流通を促し、社会全体で共有する仕組みづくりが急務だ。

これまで企業は社内にデータを集め、製品開発などにつなげる「閉じた利用」が中心だった。今後はデータを他社と共有し、イノベーションの促進や社会的課題の解決に役立てる動きが広がろう。

「開かれたデータ」の代表例は地震などの際に自動車メーカーが無償で公開する道路情報だ。カーナビゲーションの走行履歴をもとに、道路の最新の通行実績を配信し、避難や救援物資の輸送の円滑化に威力を発揮している。

最近はデータを有償で提供するビジネスも増えた。日本調剤は傘下の薬局で扱う年間1千万枚超の処方箋のデータを製薬会社や大学の薬学部に提供し、薬の服用実態の把握などに役立てている。

富士通は自社製の車載機器を通じて全国のトラックの走行状況を秒単位で把握する仕組みをつくった。急ブレーキが多発する地点の情報を陸運会社や自治体に提供し、運転手への注意喚起や信号などの設備の拡充につなげて事故の低減をめざす。

こうしたデータ事業の活性化のための課題の一つが個人情報の保護だ。今月末の改正個人情報保護法の全面施行により、個人が特定できないように加工した情報は、本人の同意なしで第三者への譲渡が可能になる。「匿名化」をきちんと施せば情報流通の自由が確保される。これを機に有益なデータの共有が進むことを期待したい。

もう一つはデータそのものの保護だ。データの創出、収集、管理にはコストがかかり、データを提供する企業が適正な対価を得る仕組みを整える必要がある。今の著作権法や不正競争防止法だけではデータの横流しのような行為を排除しきれないという指摘も多い。政府として対応すべきだ。

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