今こそG7サミットの意義を問い直そう

2017/5/29 2:30
保存
共有
印刷
その他

1975年から毎年、1回も欠かさずに開いてきた主要国首脳会議。今年もイタリア・タオルミナに日米欧の主要7カ国(G7)首脳が集まった。トランプ米大統領、マクロン仏大統領、メイ英首相ら新顔が多く加わったが、そもそも何のためにやっているのかを問い直す時がきているようだ。

東西冷戦下、第1次石油危機後の低迷する世界経済への対応を西側先進国が協議する場として始まった首脳会議。冷戦終結後はロシアを加えてG8となったが、2014年のクリミア編入を機にロシアを排除した。

ロシアを外してG7に戻ってからは、民主主義や自由市場経済という価値観を同じくする先進国の集まりとしてその意義を再評価する声もあがった。だが、今回の会議では、その価値観の共有さえ果たしてできているのかと疑いたくなる光景が目立った。

最近の首脳宣言で必ず入っていた「あらゆる形態の保護主義と闘う」という文言。自由貿易を主導する先進国としては自明のフレーズだが、米国第一主義を掲げるトランプ政権は難色を示した。日独などの説得で「保護主義と闘う」という文言は残ったが、G7の迷走ぶりを印象づけた。

オバマ前米大統領が推進した地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」の扱いについても、残留を明言しない米国と日欧の間で溝は深まった。首脳宣言では、米国を除く6カ国による支持という異例の表現になった。

先進国協調への不安要因は米国だけではない。欧州主要国内でも、欧州連合(EU)離脱を決めた英国と、独仏などの間で摩擦が生じている。

各国が自国優先、多国間より2国間での取引といった傾向を強めていけば、G7の政策協調はどんどん後退しかねない。

かつてG7は世界の国内総生産(GDP)の7割を占めていたが、中国やインドなど新興国の台頭で今やその比率は5割を下回る。

自由貿易や温暖化対策も先進国だけで仕切れる時代は終わった。実効性のある政策協調には、中国、インドも含む20カ国・地域(G20)首脳会議の役割も重要だ。

それでもG7は、まだ世界経済の半分近くを占める存在で、結束すればその力は小さくない。反グローバル化、大衆迎合主義が広がる今こそ、サミットの原点に戻って協調を立て直すべきだ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]