危うさ残る産油国の減産延長

2017/5/28 2:30
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サウジアラビアやイランなどで構成する石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなどOPECに加盟しない産油国が、原油の協調減産を2018年3月末まで9カ月間、延長することで合意した。

供給過剰を解消し、原油価格を立て直す狙いだ。長引く原油安によって産油国経済は打撃を受けている。産油国の変調はエネルギー供給や世界経済に影響を及ぼす。産油国と消費国の双方に適切な価格水準を探ることが必要だ。

OPECと非OPECは昨年12月、今年1月から6カ月間の協調減産で合意した。さらに9カ月間、減産を続けるのはこれまでの減産の成果が十分でないからだ。石油在庫は高止まりし前回の合意後、一時は上昇に転じた原油価格も1バレル50ドル前後で足踏みを続ける。

理由は米国で生産量が増えるシェールオイルだ。協調減産に加わっていないシェールオイルは原油価格が上がれば生産量が増え、下がれば減る。しかも技術革新の進展によって採算を確保できる価格水準は年々、下がっている。

減産を続けてもシェールオイルがその分を埋めてしまうのではないか。今回もそんな危うさが残る。しかし、ここで減産をやめれば価格は急落するだろう。

OPECは政策的に生産量を増減させることで原油相場に影響力を行使してきた。市場の動向で生産量が決まるシェールオイルの台頭が、OPECの主導権を奪いつつあるのは確かだ。

原油安は短期的には消費国に恩恵をもたらす。ただし、成長が続くアジアはこれからも石油を必要とする。増大する需要をシェールオイルだけで賄いきれない。中長期的にアジアのOPECへの原油依存度は高まる見通しだ。

原油安の下で世界の石油開発投資は大きく減る一方、緊迫する北朝鮮情勢や中東の混乱など地政学上のリスクは増大している。突然の供給途絶や将来の供給力への不安は増している。産油国を安定に導き、開発投資を促す努力を、消費国も怠るわけにはいかない。

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