サミット宣言をテコに北朝鮮に圧力を

2017/5/28 2:30
保存
共有
印刷
その他

イタリアで開いた主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)は、核兵器・弾道ミサイルの開発を続ける北朝鮮への圧力を強めることを柱とする首脳宣言を採択し、閉幕した。金正恩(キム・ジョンウン)委員長は今度こそ世界の声に耳を傾け、無謀な瀬戸際外交に終止符を打つべきだ。

北朝鮮については、昨年の伊勢志摩サミットでも「強く非難」した。今回は(1)国際的課題の最優先事項(2)国際平和への新段階の脅威――と位置付け、主要7カ国(G7)で問題意識を共有したのが特徴だ。安倍晋三首相は北朝鮮問題を「伝染病のように広がる世界全体の脅威」と強調した。

4月のサミット外相会合の共同声明は「新たな段階の挑戦」とするにとどまっていた。このままでは日本や韓国のみならず、米本土などにも危機が及ぶとして、表現を「脅威」に格上げした。

先立つ日米首脳会談では「いまは対話ではなく、圧力をかけていくことが必要」との認識で一致した。安倍首相は記者会見で、新たなミサイル迎撃システムの導入を進める考えも明らかにした。

軍事力行使ありきでは困るが、「(過去の)対話は時間稼ぎに利用された」(安倍首相)のは事実であり、日米が連携して抑止力向上に動くことを評価したい。

北朝鮮問題の解決には中国の協力が不可欠だ。欧州のサミット参加国を巻き込んで断固たるメッセージを発したことは、中国にはかなりの風圧となろう。法に基づく国際秩序の重要性などを首脳宣言が再確認したことも意味がある。

中国の海洋進出と絡めて、日米で中国を封じ込めるべきだという意見もあるが、米トランプ政権も米中の衝突につながるような事態を望んではいまい。北朝鮮の暴走を放置することは中国の利益にならないことをよく説明し、中朝の距離を広げるのが現実的だ。

北朝鮮への圧力としては軍事以外の選択肢もある。例えば、金融取引の封じ込めだ。

北朝鮮のミサイル技術は日進月歩で進んでいる。残された時間はそうあるわけではない。今回の首脳宣言をテコに国際社会はあらゆる手段を尽くさねばならない。

首脳宣言はテロやサイバー攻撃に結束して対抗することも明確にした。サイバーは敵が見えず、ばらばらに対処したのでは成果が出ない分野だ。日本が連携の先頭に立つ気概で臨んでもらいたい。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]