戦後3位「長きをもって貴しとせず」

2017/5/27 2:30
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安倍晋三首相の在職日数が27日に1980日となり、戦後歴代3位の小泉純一郎首相に並んだ。4年を超えた政権運営では安全保障政策を大きく見直す一方、成長戦略や財政健全化への取り組みは遅れている。長期政権ゆえのおごりを懸念する声にも謙虚に耳を傾けていく姿勢が必要だろう。

安倍政権は第1次内閣を含めて佐藤栄作首相(2798日)や吉田茂首相(2616日)に次ぐ在職日数となった。直前まで6年連続した短命政権の悪循環を断ち切り、内政の安定感や日本外交の存在感は着実に増した。

首相は高い支持率を背景に集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法を成立させ、憲法9条の改正にも意欲をみせている。民進党などは「戦後の平和主義をゆがめる」と批判しており、改憲には幅広い合意形成が課題となる。

経済政策アベノミクスは「大胆な金融緩和」が円安や株高を通じて企業収益や雇用環境を好転させた。ただ第3の矢である「成長戦略」は効果が思うように出ていない。企業に新たなビジネス機会を与え、技術革新を促す規制改革はなお力不足だ。医療や介護、雇用分野などに既得権益を守る仕組みが温存されている。

首相は消費税率の10%への引き上げを2度にわたって延期した。政権内には「経済成長こそ財政健全化への近道」との意識が強い。しかし社会保障を中心とする歳出抑制策と税制改革を一体的に実現しなければ、危機的な財政から抜け出す糸口はつかめない。

菅義偉官房長官は26日の記者会見で「政権はどれだけ長くやっているかではなく、何をやったかがいちばん大事だ。安倍政権は改革意欲に富み、政策を一つ一つ前に進めていく」と言及した。その言葉をぜひ実践してもらいたい。

最近は長期政権の弊害が指摘される場面が増えた。学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地払い下げでは、政治の関与や官僚の忖度(そんたく)が行政の公平性をゆがめた可能性がある。

学校法人「加計学園」(岡山市)による国家戦略特区への獣医学部の新設計画では、前川喜平前文部科学次官が「総理のご意向」が働いたとする内部文書の存在を証言した。前川氏らの国会招致を含めて事業認定の経緯を明らかにする必要がある。十分な調査もせずに幕引きをはかるような姿勢では、政治不信を深めるだけだ。

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