春秋 - 日本経済新聞
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春秋

これで官房長官のいう「怪文書」から、最初の1字が取れることになるのか。特区での獣医学部の開設をめぐり「総理のご意向」などと記されたペーパーのことだ。文部科学省の前の事務次官が記者会見し、自分が担当課から説明を受けた際に示されたもの、と認めた。

▼鑑定団風の「本物に間違いございません」の宣言である。政権の看板である岩盤規制の打破策だ。公平性を保つとともに、手続きに落ち度があってはならない。それなのに首相の親友がトップに就く法人が学部新設の方向となり、認可へ圧力がかかったのだという。会見で「疑問を感じつつ仕事をしていた」と述べている。

▼奇妙なことに数日前から、前次官が東京・新宿の風俗関連の店に出入りしている、との情報が流れた。前次官も事実を認めて、一部の新聞には「昨秋、首相官邸の幹部に呼ばれ注意された」と明かしている。まさか、平清盛が都に放ったという「かむろ」のごとき密偵が、東京の盛り場をうろついているわけでもあるまい。

▼首相や周辺は学部新設の件で「指示」を否定する。規制緩和は今後の成長に欠かせぬ政策であるだけに、経過を開示して透明性を高める必要があろう。折しも首相や側近の身はG7サミットでイタリア・シチリア島にある。ローマにも赴き、嘘つきは手が抜けなくなるという彫刻「真実の口」で潔白を証明してはいかがか。

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