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米中東政策の転換に長期戦略はあるか

トランプ米大統領の就任後初めての外遊先は中東だった。サウジアラビアではイスラム過激派の掃討への結束とイランに対する圧力強化を訴え、イスラエルでは中東和平の実現に意欲を示した。

サウジとイスラエルはオバマ政権の時代に米国との関係が冷え込んだ。トランプ大統領が最初にこの2国を訪れ、イランとの対決姿勢を明確にしたことは、オバマ政権時代からの中東政策の転換を意味している。

中東の安定に米国の関与は必要だ。ただし、複雑に絡み合う問題の解決には長期的な戦略が求められる。バランスを欠く性急な介入は、かえって中東の亀裂を広げることになりかねない。

トランプ大統領は選挙運動の期間中イスラム教を敵視する発言を繰り返した。就任後には、イスラム教徒の多い中東・アフリカ諸国からの入国制限措置を決め、国内外で反発を招いた。

サウジにはイスラム教の聖地メッカがある。最初の訪問先として選んだのはイスラム世界との和解を訴える狙いがあるのだろう。

トランプ大統領はサウジで、イスラム諸国の首脳らを前に、イスラム過激派への対処を目的とする新たな安全保障協力の枠組みを提唱した。拡散するイスラム過激派のテロに立ち向かうにはイスラム諸国の関与が不可欠で、視点は評価できる。ただ、問題もある。

トランプ大統領は「イランを孤立させ、テロ資金を遮断する」と強調した。大統領の演説に招かれたのはイスラム教スンニ派の国々だ。シーア派のイランと対峙するスンニ派連合の結成が安保協力の狙いだとすれば、宗派対立をあおりイスラム世界の分断を加速することになりかねない。

トランプ大統領はイスラエルのネタニヤフ首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長にそれぞれ会い、中東和平の仲介に意欲を示した。パレスチナ問題は不安定な中東情勢の核心にある。歴代の米政権が仲介に取り組みながら挫折を繰り返してきた。大統領の意気込みに期待したい。

だが今回の訪問では和平の具体的な構想や手順は示されなかった。トランプ氏はイスラエル寄りとされる。独立したパレスチナ国家がイスラエルと共存するという従来の和平原則にこだわらない考えを示したこともある。大切なのは公正な仲介者としての立場だ。腰を据えた取り組みを求めたい。

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