日本のエレクトロニクスは復活するか

2017/5/22 2:30
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自動車と並んで産業界の2本柱だった電機産業だが、昨年はシャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、今は東芝が巨額の赤字に苦しんでいる。日本の電機は復活できるだろうか。

こうした厳しいニュースが前面に出る中で意外かもしれないが、実は電機全般の業績はまずまずだ。正式の決算発表ができていない東芝を除いたベースで、上場電機メーカーの2017年3月期の合算純利益はその前の期に比べ1千億円以上の増益になった。

円高が進む逆風のもとでの増益達成であり、コスト削減や事業の絞り込みなど経営努力の成果として一定の評価ができるだろう。

いま有力メーカーの多くが力を入れるのは部品や製造設備のような中間財・生産財だ。

キヤノンで最も伸びの目立つ事業は韓国サムスン電子を主力顧客とする有機ELパネルの製造装置だ。パナソニックは車載部品を成長戦略の柱として位置づけ、米テスラなどに供給する電気自動車(EV)搭載用の2次電池で大型投資を展開する。

海外の戦略的顧客と太いパイプを築き、彼らが必要とする技術を供給する、いわば「裏方」役に徹する事業モデルである。

逆にかつて日本勢が得意とした自ら最終製品を企画・生産し、世界の消費者に売り込むビジネスはすっかり影が薄くなった。米国で人気の「スマートスピーカー」の主役はアマゾン・ドット・コムやグーグルなどのITの巨人であり、日本企業の名前が見当たらないのはやはりさみしい。

「裏方」モデルも悪くないが、それと同時に「ウォークマン」やVHS型VTRのような世界的ヒット商品の再来を期待するのは無いものねだりなのだろうか。

失敗に学ぶことも重要だ。東芝の今の経営トップは医療機器事業の出身であり、規模も時間軸も違う原子力発電事業について十分な知見があるとは見えない。広げすぎた事業範囲を絞り込み、焦点を絞った専業企業として再出発するという選択肢もある。

「日の丸」への過度のこだわりもよくない。鴻海傘下のシャープが復調の手掛かりをつかんだのに対し、政府系ファンドの主導で発足したジャパンディスプレイは経営の混乱が長引いている。事態が行き詰まったときには、自前主義を捨て、外部の資本や人材を受け入れるのも一つの方策である。

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