2019年5月27日(月)

マイナンバーを医療に生かせ

2017/5/11 2:30
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日本に住む人すべてに12桁の番号をふり、社会保障・税などに関する国と自治体のサービス向上に生かすマイナンバー制度が始まって1年半になろうとしている。だが制度について理解はさほど進んでいない。

問題は番号を医療情報に結びつける肝心の制度設計が行きづまっていることだ。マイナンバーはもともと医療の無駄を省き、患者の利便性を高め、大災害などの非常時に病院や診療所が困らないようにする社会基盤として設計した。

東日本大震災では津波で診療録や処方箋が流され適切な医療を受けられなかった高齢患者が多かった。番号から電子カルテなどをたぐり寄せられるようにすれば、同様の災害があった際に医師や看護師は遅滞なく対処できるはずだ。

また診療報酬明細(レセプト)の情報とつなげば病院や診療所ごとの医療費の動向をつかみやすくなる。匿名のビッグデータを生かして医療提供が標準化・効率化できる。政府はこの利点への理解を促す努力を改めて強化し、制度設計を加速させる必要がある。

医療情報は取り扱いに特に慎重を要するプライバシー情報だ。マイナンバーとつなぐにあたっては堅固なセキュリティー対策を施すのは、言うまでもない。

公の身分証明になるICチップ入りカードの普及も課題だ。初年度に3千万枚を配る政府の目算に対し、1300万枚にとどまっているのは、発行元である「情報システム機構」の大規模システム障害が尾を引いているためだ。

機構は旧自治省の出身者などが役員に名を連ねる。信頼される組織になるには役所仕事を排すべく自らを厳しく律すべきだ。

政府はカードに国家公務員の職員証の役割を持たせたが、警察庁など一部の役所が使用を拒むなど行政府内の足並みが乱れているのも問題だ。国・自治体の公務員は当然として、国民健康保険や民間企業の健康保険証として使うなど「不可欠なカード」にするのが普及拡大への特効薬であろう。

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