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Made in Japanのアンティーク、米ECサイトが狙い目
瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

2017/5/11 6:30
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 私自身はあまり中古品をネットで買うことはないのだが、例外がある。日本のビンテージものだ。太平洋戦争前の磁器や戦後のイミテーション・パールのビンテージものは、気をつけないとすっかりハマってしまう。何と言ってもその魅力は、ただの中古品探しというより、まるで歴史を掘り起こしているような気分になることだ。

ネットで購入したビンテージ品
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ネットで購入したビンテージ品

 実は、日本などのビンテージものの取り扱いが、米国系のイーベイやエッツィーといったサイトで充実してきている。

 磁器ならば、例えば「ノリタケ」で検索すると、かなり多く出てくる。日本では見たこともないような商品がある。脚のついた小さなボールに磁器製のレードルが組み合わされたソースセット、メガネを入れておくらしい妙な形の卓上ケース、背の高いポットとカップを組み合わせたココア・セットなどだ。

 日本では見られないこうした商品は、おそらく輸出専用に作られたものだろう。米国市場の要望に合わせて日本でこうした商品を製造した職人たちは、一体どんな環境を想像しながら作業をしていたのだろう。早くから貿易に乗り出した日本企業のたくましさも感じられる。当時は、商品の裏に「Made in Japan」とか「Japan」と書かれているのが、ちゃんとした磁器であることの証明だった。

 絵柄にも歴史が感じられる。古いものならば1910年代に製造された商品まで出ているが、それらはアール・デコ調のプレートや黒地に鮮やかな花柄が大胆に描かれたボールだったりする。戦後になると、かれんな花柄のティーセット、グラフィックス調のモダンな絵柄のポット、北欧調のクリーマーとシュガーポットのセットなどへと変わっていく。博物館のようなアンティーク、あるいはビンテージ商品が、古い米国の家庭から放出されて、何段階かの人手を渡ってオンライン・サイトに出品されている。

 磁器では、やはりドイツ製のそうした興味深いものが米国の中古品サイトで見つかることがある。以前、購入した小皿は「Made in Occupied Germany(占領下のドイツ製)」だった。第2次世界大戦後の数年間に製造されたものだ。

 磁器で言えば、実に役立つサイトもある。「Replacements」という会社のサイトで、例えば磁器のテーブルセットを8組持っていたが、そのうち一つが欠けたので補充したいといった場合に、在庫を探してくれるのだ。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

 同社のサイトは、まるで磁器やカトラリーのデータベースのようなもので、世界中のメーカーの、古くは1800年代からの商品を集めている。それをオンラインで見ることができるのが圧巻だ。

 一方、イミテーション・パールのビンテージものにもなかなかの味わいがある。日本はパールの国として名高いが、戦後はイミテーション・パールの輸出国という側面もあった。中古品サイトで探すと、日本製のイミテーション・パール商品がたくさん出てくる。

 私自身が熱中してしまったのは、パール製の付け襟だ。イミテーション・パールをびっちりと敷き詰めたような付け襟が戦後流行し、日本からかなりの数が輸出されたもようだ。デザインが微妙に異なるビンテージものがいろいろ出てくる。

 毛皮とパールを組み合わせたといった斬新なデザインの付け襟もある。そうした商品は、当時ニューヨークにあったデパートがデザインをし、日本に製造注文したもののようだった。

 イミテーション・パールのビンテージものは日本製とだけ書かれている場合がほとんどで、誰が製造したのかが不明だ。どんな職人の人たちが携わっていたのだろうと、興味が尽きない。そんなわけで、日本のビンテージな時代に思いを馳せているのである。

[日経MJ2017年5月7日付]


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